ラオスの夜行バスで人生のゴールについて語り合った話。

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ラオスの夜行バスで人生のゴールについて語り合った話。


パクセーからビエンチャンに夜行バスで向かおうとする若者がいました。今日は、ある若者が夜行バスで同年代の若者と人生のゴールについて語り合った話です。

 

若者は、できる限り時間を有効に使いたいと思い、普通のバスよりも多少高い、寝台夜行バスを予約しました。日中は、町中で市場を見たり、日本ラオス友好橋と沈む夕陽を眺めたり、日本食レストランに入って海外の日本食を試したりしました。

市場は雑然としていて特段珍しいものもなく、友好橋をわざわざ渡るほどの意欲もなく、また、日本食は海外で食べてもそれなりに美味しいということに気づいた、そんな1日。シーパンドーンからパクセーを経由し、ビエンチャンに向かう移動日だったため、その日はとにかく夜行バスに乗れれば良い日でした。

 

 いざバスへ。



一日中歩き回った末に、ようやく夜行バスへ。案の定、時間通りにバスステーションに到着しても、屋外で長時間待たされます。なんとも色とりどりのバスが、所狭しと並んでいます。きっとラオス各地に向かうのでしょう。バスの側面には何故か日本の地名が書かれているものもあります。

ようやく乗り込んで指定の場所に行くと、一応横になれる程度のスペース。横幅はシングルベッドよりも少し狭い程度で、縦は180センチくらいでしょうか。やはり多少狭い。もちろん寝床の柔らかさなど皆無。そうはいっても、安く移動できるのだから、これくらいは我慢して当然だと思っていました。

 

寝る準備をして、ごろりとしてる時のこと。眼前に若い女性が現れました。なぜか若者のことを見つめています。若者はドキドキしながらも、冷静になぜ目の前の女性が自分のことを見つめているのか考えていました。

話を聞いてみると、なんと自分も同じ席だと言います。興奮……ではなく、困ったことになったと考えていると、若者が狭いと思っていたそのベッドスペースは、2人分のスペースだというではありませんか。

「この娘も困っているし、2人で寝るのがルールなんだ!仕方がない!俺は悪くない!」と自分に言い聞かせていると、急に女性の後ろから男が現れました。中国語らしい言葉で会話したのち、女性は去って行きました。

さすがに2人スペースのベッドでは男女別になるのが通常らしく、結局この男と一緒に寝ることに。若者が落胆したことは、言うまでもないでしょう。

 

パクセーからヴィエンちゃんに向かうバス。

↑パクセーからヴィエンチャンに向かう夜行バス。何故か三重。

 

 李くんの悩みと決意。人生ってなんだろう?



男の名前は李くん……ということにしましょう。中国の大学で工学を学ぶ学生でした。若者とはほぼ同年代です。

狭いベッドで体を密着させるようにして横たわる2人。寝返りも打てないほどで、横を向いたら気まずくなるほどの近距離です。寒いと感じるくらいの車内で暖かく過ごすための配慮なのだろうか、いやそんなわけがない……といらぬことを考えていると、李くんが話しかけてきます。若者も李くんも英語が下手でしたが、コミュニケーションは嫌いじゃない様子。

「彼女はいるの?」と李君。万国共通で盛り上がる話題になりましたが、自分から「僕、いないんだ……欲しいんだけど。」と落ち込んでしまいます。「僕もいないよ。」と答えると、安心した様子。お互いモテない男だと分かったからでしょうか。

 


 

 

「ワリヨアゴー?」

彼女の話をしていたはずが、急に何か別の話をし始めました。最初は何を言っているのか全くわかりませんでしたが、なんとか「What is your goal?」と言っているのだと気付きました。最初は次の目的地を聞いているのだと考えたのですが、そうではなく、人生のゴール・目的について聞いてきたのです。

若者は戸惑いました。こう聞かれて戸惑うのは何もこの若者だけではなく、多くの日本人は自信を持って答えられないのではないでしょうか。答えに窮した若者は、「君は?君の人生の目的はなんなんだ?」と聞き返します。李君の答えは明確でした。

 


 

僕は幸せになりたい。いつか社長になって、たくさんお金を稼ぐんだ。

僕は彼女が欲しいし、結婚したい。子供だって欲しいと思ってる。でも普通に働いていたら、それだって難しい。雇われて働いていたら給料はすごく安いし、とても家なんか買えない。僕の国で幸せになろうと思ったら、とにかくお金が必要だよ。お金がなければ満足のいく人生なんて歩めない。僕は旅も好きだけど、自由に旅するのにだってやっぱりお金が必要なんだ。

だから僕は今、大学で一生懸命勉強してる。勉強して自分で会社を作るんだ。絶対にお金持ちになるんだ。そうしないと幸せになれないんだから……。

 


 

バスはとうの昔にビエンチャンへ向けて出発し、周りの乗客も眠りにつき始めています。「寝ようか。」若者たちも眠りにつきました。きっと眼が覚める頃には、ビエンチャンのバスターミナルに着くことでしょう。

 

 人生のゴールは? 



深夜、若者は揺れるバスの中で目を覚ましました。若者と李君は触れ合うように、というか実際におでこをくっつけていました。慌てて額を離し、無理やり寝返りを打ちます。相変わらず李君は眠ったままです。

翌朝、2人は何事もなく無事にビエンチャンに到着し、「Bye.」とだけ言って別れました。あのあと李君がどうなったのかは分かりません。今頃彼女と結婚して子供を作れているんでしょうか。社長になってお金持ちになったのでしょうか。

国によって……というよりきっと、周りの環境によって、人生に対する考え方は大きく異なります。若者と李君が語り合ったあの日、若者もきっと自分なりの人生のゴールについて語ったはずです。

 

このブログを読んでいる人のほとんどが、今日も日本のどこかで、パソコンに向かって頭痛を我慢しながら働いていたのではないでしょうか。あるいは体を酷使し、クタクタになるまで歩き続けたかもしれません。毎日働いて、多少のお金をもらって、それでなんとか暮らしています。

僕も、毎日会社と自宅との往復だけで1日が終わってしまい、疲れて嫌気がさしてしまうこともあります。そんなとき、よく李君と過ごしたあの夜を思い出します。「僕にとっての人生ってなんだろう。」って。ポジティブでもネガティブでもなく、ふとそう思うんです。

李君、元気かなぁ。僕も「人生のゴール」、ちゃんと考えないとなぁ。

 


 

皆さんには、人生のゴールがありますか?李君の問いかけに、何て答えますか?

雨のち晴れ。明日も頑張りましょう。


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