フンザは本当に桃源郷のような優しい土地だった。


実在する桃源郷として名高いフンザ。

アッターバードを越え、徐々に目的地フンザが近づいてきます。周りの景色すべてが非現実のようで、カメラを構えても、すべて素敵すぎて、どこをとって良いか迷うほど。8000m、7000m級の山々に囲まれ、フンザだけが下界から切り離されて時間が止まっているかのようです。ジブリの名作、風の谷のナウシカのモデルとも言われるフンザですが、天空の城ラピュタのゴンドラの谷のようでもあります。「好きな土地をひとつだけあげるなら?」の問いに、フンザと答える旅人も多いのもうなずけます。

 

 風の音を聞き、土を踏みしめ、レディフィンガーを眺め歩く



風に吹かれ、谷を見下ろし、人々とすれ違う。それがこの里の楽しみ方なんだと思います。細道の両脇に石垣が積み上げられ、その側にはざるに上げて干された杏。牛が鳴き、子どもたちは笑いかけ、行き交う人はみんな声をかけてくれます。フンザでは本当に歳をとった老人もゆっくりと働いています。


 

ぼくの場合、歩いていたら声をかけられ、餃子パーティーに誘われました。近くに住んでいる男たちが4人で集まり、簡易テントで水餃子を食べながらフンザウォーターを飲んでいるところにお邪魔することになりました。

フンザウォーターは強いお酒なのですが、そこはイスラム圏ということで、あくまでも水という扱いになっています。僕に「ウォーター!」と言って飲ませ、むせるのを見て楽しんでいます。行く前からフンザウォーターの存在については知っていましたが、それでも思わず笑ってしまいました。美味しい、美味しいと言いながら餃子とこの素敵な水を飲み、この世界のあり方について語り合いました。

最近はムスリム過激派のイメージからフンザに訪れる人も減っていて、すごく悲しいと言っていました。自分たちはムスリムである前に一人の人間で、その点は全世界共通のはず。そう語る男の目は真剣でした。


 

また、イーグルネストからアルティットに向けて坂を下っていくと、急におじいちゃんに声をかけられました。

「ちょっと待ってろ」という仕草をしたあと、山の中に消えてしまい、さてどうしたものかと思いながら約5分。なんと裏山から自分のりんごをもいできたようで、ニカっとしながら差し出しているではありませんか。

食べろ食べろというので、その場でひとついただきました。小ぶりなリンゴは甘酸っぱく、おじいちゃんの優しさを感じられるものでした。


 

餃子にしてもりんごにしても、とっても嬉しかったです。

日本にきている外国人の方に対して、ぼくは同じことができるだろうか?と思うと、この人たちがいかに他人に対して優しさを持っているのかがわかりました。

ぼくもせめて、日本で困っていそうな外国人がいたら、声をかけてあげるようにしたいと思います。


 

ウルタル、デュラン、ラポカシ、それにフンザピークやレディフィンガー。素晴らしい山々は、あちこち歩き回り、違った角度から眺めましょう。

僕が行ったのは9月。緑豊かな時期で、杏の花は咲いていませんでしたが、それでも桃源郷と言われるのが良くわかる、そんな場所でした。

 

 

 お土産は目移りしてしまうほど面白い!



この地域の特産といえば杏。それにフンザ帽子や絨毯、宝石など。

絨毯はピンキリですが、シルクを使ったもので、目が細かく折り曲げるのが大変なほどびっちり縫われたものが良いそうです。ぼくは日本を出る前から、最高の絨毯を1枚お土産として買いたいと思っていたので、フンザで織られたシルクの絨毯を購入しました。店は、イーグルネストホテルのすぐ隣にあるお土産屋さんです。とにかく素敵な品物がたくさん並んでいました。

 

宝石は特にアクアマリンの質が良いようです。フンザルビーも有名なようですが、お店の人はアクアマリンが一番だと言っていました。自分の場合、織物をたくさん買ってしまったので、アクアマリンは迷った末に購入せず。

また、ラピスラズリは拳ほどの大きさのある塊がたったの1000円程度。日本で買えば5000円を優に超えるでしょう。ケチらずに買っておけばよかったと後悔しています。ベッドサイドにおくだけでも素敵ですよね。

 

結局絨毯、アイベックスの毛でつくった布、ウールの膝掛け、アンティークの置物など、たくさんお土産を買ってしまいました。

同じパキスタン絨毯にしても、もっと有名で質の良いものがあるのでしょうが、僕はフンザの最高級絨毯を買うことにこだわりました。帰りは重くて大変でしたが、今も宝物として大切に使っています。

 

 イーグルネストホテル



イーグルネストホテルはこの地域でも有数の素晴らしいホテルです。しかし近年のイスラム教地域における政治情勢の不安定により、観光客が減り、結果として宿泊客が激減しているとのこと。これは餃子の兄ちゃん達が言っていた通りのようです。

 

ぼくが訪れた時も、宿泊客は他にたった1組だけ。特に予約していなくてもあっさり泊まれました。提示された値段は日本円にして約1500円。ホテルの格からしたらありえないほどの安さ!と思っていたら、2泊してくれれば1泊1000円にしてやると。お客さんが少ない中で、少しでも部屋を使ってもらったほうが良いから安くするんだそうです。もちろん即決です。

もちろん安かろう悪かろうなんてことは全然なくて、眺めは最高、部屋も清潔、スタッフはなんでも教えてくれるし対応も丁寧。非常におすすめです。

 

フンザの写真といえば、イーグルネストホテルの裏手にある小高い丘から撮ったものが有名です。左右を山に囲まれ、なだらかな斜面に家々が立ち並び、谷間を川が流れる……どうやったらこんな完璧な景色になるんでしょう?この眺めを見るためだけにここに来ても良いくらいです。実際、このホテルの横にある展望台から景色を見るためだけにカリマバード中心部から車で訪れる人もいるそうです。

 

バックパッカー御用達の宿はカリマバード中心部にいくつかありますが、フンザに来たからには一度は泊まりたいと言われるイーグルネスト。食事などは通常料金ですので、格安とは言えません。それでも、フンザの全景を見渡しながらいただく朝食は格別で、本当に幸せな気分にさせてくれます。

 

 アルティットとアルティットフォート



フンザで有名な観光地に、バルティットフォートとアルティットフォートがあります。どちらもすごく古いんですが、ぼくはより古いアルティットの方を訪れました。アルティットというのはその地域の名前で、イーグルネストから歩いて降りていくと、自然とたどり着けます。

アルティットフォートのお城自体は、「なるほど、そういう歴史なのね」くらいのものですが、何といっても周りの景色が素晴らしいです。特に地域の歴史などに興味がある人にとっては面白いでしょう。

 

ぼくは、アルティットフォート本体よりも、それに続く古民家の方が面白かったです。アルティットフォートと古民家が隣接しているんですね。なんとこの古民家群、遺跡みたいになっているところに、まだ人が生活してるんです!

石でつくられた超古い建物と建物をつなぐようにロープが張られ、干された赤や黄色の衣服が、青すぎるくらい青い空を背景にして風にはためきます。2mもある?というような狭い路地を、子どもがバタパタと駆け、広場では若い子からお年寄りまで女性たちが談笑します。まさにタイムスリップしたような感覚に陥る、そんな不思議な場所でした。

 


 

ぼくがフンザに滞在したのはたったの3日間。夢のような時間でした。特に何をするわけでもなく日がな散歩をしても良いでしょう。「行かずに死ねるか!」みたいな常套句がありますが、ぼくにとってフンザは、生きているうちにちゃんと行けて良かったと心から思える場所でした。同時に、生きていて良かったとも思いました。

雨のち晴れ。明日も頑張りましょう。

 

フンザに行き方まとめはこちら↓

フンザへの行き方まとめ〜中国・ウイグルからパミールを越えて〜


投稿者: らぴ

旅とカメラと。NikonのD750と58mmf1.4、そして14-24mmf2.8が相棒。望遠欲しい。スポーツとか仕事についても書きます。 雨のち晴れ。いつかきっと晴れるよね。

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