旅写真家・竹沢うるまさんの写真集とか小説を読んでみた!


旅と写真が趣味の皆さん、こんにちは。

旅と写真が好きなら、竹沢うるまさんのことは聞いたことがあるでしょう。約3年の旅をして、その旅の写真で日経ナショナルジオグラフィックのグランプリを取った方です。グランプリ受賞作はインド・スピティでチベット系の女性を撮影したものでしたね。

 

ぼくもこれくらい撮れるようになりたいなぁ、と常々考えていて、自分の参考とするために「Walk about」と「Kor La」は両方とも購入しました。また、「 The Songlines」と「旅情熱帯夜」という2冊の旅小説も持っています。

バックパッカーの常として、財布の紐が固く、なかなか購入まで至っていない人もいると思うので、今日はこれらを実際に買った自分の視点で、その感想について語らせてもらいます。

 Walk about は淡さが素敵

竹沢うるまさんの写真集で、3年の旅を1冊にまとめたのがこの写真集。アメリカ大陸からアフリカ、ユーラシアに至るまで、世界各国を旅した時の様子が収められています。

写真集ということで、1点の豪華さよりも全体の雰囲気を重視しているのかな、と思いました。いわゆる絶景本とは全く異なるもので、人々の日常や自然な姿を中心とした写真集です。

 

こういった自然な姿を中心とした写真集は、人々の日常生活にお邪魔する、バックパッカーを経験した人にしか作れないものでしょう。写真集全体に「旅情」がただよっています。紙の質も手伝ってか、あまりビビットではない淡い雰囲気が漂うこの写真集は、少し時間が経ったセピア色の思い出を紙面に閉じ込めているようです。

ぼくはこの写真集がすごく好きで、何度も見返してきました。1枚で勝負するようなインパクトのある写真だけでなく、写真同士が相互に影響しあい、お互いを引き立たせるような組み合わせ方には、学ぶところも多かったです。

 Kor La はチベットの静けさと厳しさを表現

こちらの写真集は、Walk aboutの続編的な位置づけ。世界一周から戻って、次のテーマとしてチベットの撮影に取り組んだそうです。

写真集購入だけでなく、品川で行われている写真展にも行きましたが、前作とは雰囲気が大きく異なります。チベットという土地柄もあるのでしょうが、静かで厳しい土地であることが伝わってくる写真が多いです。写真集全体を通してアンダーで暗いので、その感覚が際立ちます。

 

あとは謎の炎とか雪とか。紙面全体に炎が揺らぐ様子や雪が舞う様子だけを映した写真が何枚もあったんですね。これって別にチベットじゃない場所で撮ったのかもしれないし、別にチベットとは関係ないと言われる可能性だってあります。

でも、こうした挟む写真があることで、コンセプトや方向性を印象付けることに成功しているように思えました。こういうところが上手なんですよね、竹沢さんは。

 

ぼく自身、インドのラダックや東チベットに行ったことがあったし、そのときにたくさん写真を撮ってきていたので、自分の写真と比べる意味でも勉強になりました。チベット圏は空が近くて青く、山々が美しいので、そちらに目がいきがちですが、それとは別に日常生活を写すのはぼくと同じだなぁ、と思います。

ただ、竹沢うるまさんはプロですから、まちから離れた村を訪れ、そこで何泊かしてじっくり写真を撮ることができるでしょう。ご本人とお話ししたこともありますが、やはり結構離れたローカル村に行くようです。より純度の高い人々と会おうと思ったら、文明化が進んだまちから離れてみるのが手っ取り早いですが、それを実際にできるのは、他の定職がないプロだからこそできることなのだろうと思いました。

 

チベットって凄く画になります。被写体が良いので、はっきり言って誰がとってもそれなり以上に素敵な写真が出てきます。でもだからこそ、他人との差が求められるし、自分なりの思いや深さがないと、よくあるチベットらしいチベット写真にしか見えません。竹沢うるまさんの切り取り方は、自分独自の世界を作り上げていました。

ちなみに、写真展も素敵でした。大きく引き伸ばされた写真には、引き伸ばし多分迫力がありましたし、真っ暗闇の中でスポットライトに照らされた写真は、その場に浮かび上がっているようでした。それに、真っ暗闇とチベットの厳しさは非常にマッチしますから、その点でも良かったです。

 The Songlinesと旅情熱帯夜

The Songlinesは、Walk aboutの小説版です。つまり世界一周していたときのこと、そのハイライトを一つの小説のようにまとめたもの。竹沢さんご本人の自伝としてまとめられていると言えます。カメラを始めた頃の話や世界一周のハイライトが中心です。

これに対し、先日発売されたばかりの旅情熱帯夜は、旅で起きたことを、超短編集のような形でまとめたものです。ご本人も仰っていましたが、旅の日記を本としてまとめた形になっており、文章と写真が半分ずつくらい。文章を読んだら素敵な写真が待っている、という形式が繰り返されています。文章も写真も「旅」を感じさせるもので、旅の移動の大変さや出会った人に騙された話など、バックパッカーとして旅しているときの大部分を占める時間を綴っています。

 

この二つは、同じ旅を本にしたものですが、構成や本の雰囲気は大きく異なります。前者は青春という言葉が似合うような、まさに成人になるための通過儀礼、「walk about」という雰囲気が滲んでいますが、後者はもう少し旅の現実感が漂っています。

どちらもそれぞれの良さがあり、好みが分かれるところでしょう。友人は前者が好きということでしたが、ぼくは後者が好きです。いずれにしても、写真集の背景を知る意味で興味深いものです。写真集とセットで考えると、相互補完的に両者が引き立ちます。

 


 

竹沢うるまさんは、旅好きの中では売れっ子的存在になっています。これからどういう方向に行くのか楽しみです。ぼく自身は、竹沢うるまさんとは違ったオリジナルの旅写真を撮れるようになろうと思います。

 

雨のち晴れ。明日は晴れますように。


投稿者: らぴ

旅とカメラと。NikonのD750と58mmf1.4、そして14-24mmf2.8が相棒。望遠欲しい。スポーツとか仕事についても書きます。 雨のち晴れ。いつかきっと晴れるよね。

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