走幅跳のコツを教えよう。超重要なのに忘れがちな技術。


陸上競技の中でも走幅跳は最もメジャーな種目の一つと言えます。体育の授業や体力テスト、地域の陸上大会に至るまで、あらゆる場面で挑戦することが求められます。

 

今回の記事は、主に初めて走幅跳に取り組む方、急に運動会や大会に駆り出されることになった方、それに子供に急に教えなければいけなくなった方等を対象にしています。また、走幅跳に取り組んでいるけどもう一度基本を見直したい方にも読んでいただきたいです。中学生や高校生でこれらの基礎がきちんとできている人はなかなかいませんので、改めて自己を見つめなおすにも良いと考えています。

なお、これから紹介する技術は三段跳にも共通するものです。

走幅跳の専門技術はどれほど必要?すぐにできるもの?

走幅跳は大きく3つの場面から成り立っています。①助走、②踏切、③着地、です。簡単に言えば、「速く走ってロスなく力強く踏み切って、これまたロスなく着地する」のが大切なわけです。

走幅跳を突き詰めていくと、究極的にはこの3つをいかに高いレベルに引き上げられるかという話になります。

 

これらに関し、世の中にはノウハウがあふれています。助走はセットかローリングか、踏切前の重心はいかにすべきか、体幹から体を動かすにはどうすればよいか、はさみ跳と反り跳はどちらが良いか……、挙げ出すときりがないほどです。

専門に競技に取り組む人にとっては、これらは一つ一つ研究し、自分で試していく必要があります。しかし、初心者の方や、競技会に1度だけ参加するような方にとって、これらを考える必要はありません。

仮に考えて実際に試してみたとしても、すぐに上手くできるようにはならないはずです。もしすぐにできるようなら優れた才能があると思います。

 

今挙げたようなことは、どちらかというと「より高度な技術を身につけて、自分の能力をプラス方向に持っていく」ものです。そして、プラスに持っていくことは非常に難しく、かなりの努力と時間が必要となります。どれも簡単にできることではないのです。

「初めての」と冠した書籍でも、実際には玄人向けの技術向上に関する内容がふんだんに盛り込まれているのが現状です。

 

では、初めて走幅跳に取り組むような人は、何に注意すれば良いのでしょう?答えは明確で「ロスをなくすこと」に尽きます。

考えてみてください。ぼくたちがいかに頑張ったとしても、いきなり基礎体力が上がるわけがありませんし、高度な技術を身につけて跳べるようになるわけでもありません。すぐにできることには限りがあるわけです。

 

初心者の特徴は、非常にロスが多いことです。これは何も走幅跳に限るものではなく、運動であれ勉強であれ、初級段階にいる人は極めて非効率なことをしがちです。そして、こうした非効率の中には、簡単に修正できるものもあるのです。

 走幅跳のコツを教えよう。これができるだけで記録が伸びます。

初めて走幅跳に取り組む人にとって、まずはロスをなくすことが大切です。

特にすぐに改善できるようなことほど効果は高く、一気に記録を向上させることが可能となります。

ぼくが初めての人や競技を始めたばかりの人に指導するときは、以下の3つを優先的に身につけてもらいます。

 

  1. 目線をまっすぐ前に向けること
  2. 助走の中盤から体をまっすぐ立てること
  3. 9割くらいの力でリラックスして走ること

 

そんなことで記録が伸びるの?と思われるかもしれません。安心してください、伸びます。たいていの人はできていませんから。

 

本来、ポイントは他にもたくさんあります。しかし、いきなりたくさんのことを覚えろと言われても難しいですよね。記録向上どころか、かえって混乱して記録を落としてしまう場合すらあります。だからぼくは厳選して3つに絞り込むことにしました。1つできるようになったら新しいことを1つ教えます。

理解していただけたでしょうか?それでは一つずつみていきましょう。

 

1.目線をまっすぐ前に向けること

目線をまっすぐ前に向けることは、最も重要です。走幅跳は踏切板からどれだけ遠くに(=前に)跳べるかを競う種目です。

初心者で多いのが、助走から下を向きっぱなしでそのまま踏み切ってしまう、あるいは上に跳ぼうとして空を仰いでしまうパターンです。

下を向いていては猫背になってしまい、踏み切ろうにも踏み切れません。「砂場に刺さる」ような跳躍になってしまい、高さが全く出なくなってしまいます。

逆に、上を向いていればせっかく助走で得たスピードを大きく殺してしまいます。踏切で大きなブレーキをかけてしまうからです。走幅跳は高さを競う競技ではなく、前に跳ぶ競技だということを忘れてはいけません。

 

目線の置き方ですが、助走の中盤からはまっすぐ前か1,2度程度上に目線をおくくらいの意識が望ましいです。

「ほんのちょっとまっすぐより上」くらいでしょうか。助走中盤から踏切、そして着地に至るまでずっとこの目線をキープします。これだけのことで、いきなり数十センチ記録を伸ばす人もいます。

 

2.助走の中盤からまっすぐ体をたてること

体を地面に対して垂直になるようにします。

猫背で前のめりになっていないか、体が反って上半身が後ろに残っていないか確認してみてください。

言わずもがな、走幅跳の特殊性は、高いスピードで踏み切るところにあります。この踏切をいかに上手くするかに、世の跳躍選手は命をかけています。そして、この踏切を上手く行うためには、体がまっすぐに起きていることが不可欠です。

 

ぼくが現役時代は、助走歩数が16〜20歩で、その日の体調や風邪の具合によって使い分けていました。風が極端に向かっていない場合は、だいたい助走スタートから8歩あるいは10歩のあたりで完全に体が立つようにしていました。

 

実際の踏切は後傾しているのですが、気持ちとしてはまっすぐのまま入るくらいでちょうど良くなることが多いです。

初心者が後傾を意識してしまうと、やりすぎて大きなブレーキをかけることになってしまいます。そうすると、上に跳べるけど前に進まない、記録に結びつかない跳躍になります。

 

3.9割くらいの力でリラックスして走ること

全力で走るということは、それ以上にすばやく体を動かせないことを意味します。当たり前ですよね、全力を出してるんですから。全力疾走をしていてそこから「もっと速く!」と言われても無理なのは自明です。

このことから考えてみても、踏み切るという動作を行うためには、全力よりも少し余力がある状態で走ることが必要です。助走後半から踏切にかけては、助走中盤以上に走りのピッチをあげなければいけませんからね。

 

初めて走幅跳に取り組む人や、運動経験があまりない人にとって、力をコントロールすること自体、難しいはずです。だから「ちょっとだけ全力よりも余力がある」くらいで走ってみましょう。

 

運動においてリラックスは極めて重要な技術ですが、全力よりもちょっと余力がある状態で走ることで、体がガチガチになってしまうのを避けることができます。これがリラックスにも繋がります。

 

し全力で走らないと助走が遅くなっちゃうのでは?と疑問に思う方もいますね?

大丈夫です、自分の感覚で9割と全力の速度はほぼ変わりません。むしろ全力で走ろうとすると手足がバラバラに動いたりして遅くなってしまうこともあるくらいです。もっと言うと、8割5分の力感でもほとんど助走スピードは変わりません。実際に計測してみればよく分かります。

大切なのは、「自分で自分の体をコントロールできる余力を持った状態でできる限り速く走ること」です。

 


 

いかがでしたか?どれも特別なことではないですよね。しかし、実際にこれがきちんとできている人は、思った以上に少ないです。

目線、体を立てる、全力ではなくリラックス。この3つをきちんと抑えるだけで、あなたの走幅跳は劇的に変わります。是非一度、自分の跳躍を確認してみてください。

雨のち晴れ。きっと跳べるよ!

 

三段跳のコツはこちら

走幅跳における空中動作と跳躍距離の関係性についてはこちら

 

※ もう一つだけ。助走の距離も極めて大切です。特に踏切前の3歩が大股にならないように助走距離を調節してください。大股になっているようなら助走をほんの少し短くしてみましょう。踏切前で大股になってしまうと、素早く踏み切れなくなってしまいます。

20170624リライト