新疆ウイグル自治区まとめ。愛すべきシルクロード。


新疆ウイグル自治区をご存知でしょうか。ぼくはこれまでにこの地を4度訪れていますが、それでもまた行きたいと思っています。

 

この新疆ウイグルは、中華人民共和国内の自治区で、地図でいうと左側(つまり西ですね)に位置しています。自治区といえば、日本ではチベット自治区が有名だと思いますが、ウイグルも広大な土地を有しています。

特に西部の町カシュガルやその南、「南疆」と呼ばれる地域では、民族帽子「ドッパ」を被る男性、色鮮やかなワンピース「アトラス」を纏う女性が街を行き交います。自治区内の首都はウルムチ。古くはシルクロードとして知られ、交通の要衝でした。
1960年代には、タクラマカン砂漠において核実験が行われたことでも有名です。天然ガスや鉱物も豊富。主な宗教はイスラム教で、ウイグル族を中心に、タジクやキルギス族など少数民族も多く住んでいます。
また、近年はテロやIS戦士の補給庫と言われることもあります。こうしたことから非常に危険な土地というイメージが付きまといます。
ヤルカンドの少年。菜っ葉を売っていた。

大きく変わるウイグルと変わらぬもの

ウイグル自治区で色々話を聞き、実際に様々な場所を見てみると、この地域が非常に複雑な事情を抱えていることが分かります。

 

最もウイグル族の暮らしが色濃く残っていると言われる西の町カシュガルも、ここ数年で様変わりしました。朝のアザーンは消え、代わりに警官がランニングする際の掛け声で目覚めます。ぼくが初めてカシュガルを訪れた4年前は、アザーンに感動したものですが、それが今は聞けなくなってしまいました。

また、町の中のあちらこちらに警察署が立っています。特に中心街では、200m間隔くらいで建っているのではないかと思うほどです。かつてナイトバザールで活気に満ちていた場所も、今は警察署に置き換わっています(ナイトバザールは近くに移転)。旅をしていて緊張します。

 

カシュガル駅にて。カラフルな民族衣装がアトラス。

 

その一方で、変わらぬ文化も存在します。ドッパやアトラスしかり、伝統的な食事であるラグメン、サモサ、ナン、新鮮な果物。それに家畜市場も健在です。ちょっと郊外の村に行くと、伝統的な家屋も残っています。ウイグルの土壁でできた住居が残っている街並みは非常に美しいです。子供達はすごく人懐こく、可愛らしいです。

 

※ ただし、郊外に行くと公安に「署まで同行願う」的なことを言われる可能性があります。実際に自分の友人などは数時間拘束されて撮った写真などをチェックされたと言っていました。行く際は自己責任で、くれぐれもお気をつけて。

ウイグル関係記事一覧

これまでいくつもウイグル関係の旅記事を書いてきましたので、ここにまとめておきます。事情が頻繁に変更になる地域ですが、これから訪れる人の参考になると嬉しいです。

ぼくが訪れたことがあるのはウルムチ、トルファン、カシュガル、ヤルカンド、そしてタシュクルガンの5つの町です。それぞれ雰囲気が大きく異なります。

 

シルクロードを進め!トルファンとウルムチ。

トルファンとウルムチは1日くらいずつしかいなかったので、あっさりとしか書いていません。ウルムチは大都会。漢民族の割合も高いですので、ウイグル感はカシュガルに比べるとずっと低いです。

トルファンについては、ブドウが非常に有名です。自分が訪れたのが時期外れの3月だったので、いつかベストシーズンに訪れて見たいと思っています。昔は日本人もたくさん訪れていたという観光の町です。

トルファンとウルムチ、どちらも悪くはありませんが、せっかくウイグルに行くなら西のカシュガル方面まで足を伸ばしてみることをお勧めします。

 

カシュガルで新疆ウイグルを堪能!老城で異国感を味わおう!

初めてカシュガルを訪れたときにまとめました。訪れるたびにちょこちょこ手を加えています。初めてカシュガルを訪れる人のための初心者編と行ったところです。まずはこの記事を読んでいただければ。

 

ヤルカンド(莎车)には昔ながらのウイグルが残っていた

2017年5月、タシュクルガンに行くつもりが結局行けず、代わりに急遽行ってみることにしたウイグル南部の町ヤルカンドです。ウイグル色がカシュガルと同じくらいかそれ以上に残っていてすごく興味深かったです。

 

タシュクルガンでパミールの息吹を。タジク族が住む国境の町。

ウイグル自治区とパキスタンの国境付近にある町。ウイグル族ではなくタジク族が住んでいます。観光的要素は薄いのですが、ぼくが今まで旅してきた中で最も好きな町の一つです。2017年5月には行こうとしたら途中の公安で追い返されてしまいました……。

 

【一応リンクを貼っておきます、的な記事】

3度目の新疆!タシュクルガンで写真を撮りまくる。

カシュガル郊外へ!昔ながらのウイグルを堪能。

この2つは、ウイグルとキルギスの両方を回ったときの旅行記です。2016年の年末と2017年の年始です。旅行記ですので、役立つ情報はあまりないかもしれません。雰囲気がわかるくらいですかね。

 

カシュガルのナイトバザール。左右に見える店では様々な食品が売られている。

 


自分がアジアを旅した中で、ウイグルは非常に思い出深い地域です。すごく好きで何度も訪れているのですが、稀にテロなどが発生するため、他人に対して「おすすめ!ぜひ行ってみてください!」というのは言いづらいです(最近は先進国でもテロが起きるので、言い始めたら世界中旅行できないことにもなりかねませんが)。

ただ、それでもやっぱり自分はウイグルが好きだし、行こうと思ったらあまり情報がない地域なので、こうしてまとめてみることにしました。もし行く方は、参考にしてください(くれぐれもお気をつけて)。

雨のち晴れ、きっと明日は晴れるよね!


タシュクルガンでパミールの息吹を。タジク族が住む国境の町。


【重要】5月4日より、カシュガルからタシュクルガンへの個人旅行が禁止されました。ツアー会社に登録すれば行けるようです。

→7月末日現在、パスポートのチェックはしっかりと行われるわけではなく、特段問題なくタシュクルガンまで行けたという話が出ております(ただしパキスタンビザ保有者)。詳しくはコメント欄をご覧ください。

 

カラコルムへの入り口、タシュクルガン(塔什库尔干)。中国でもウイグルでもなく、パキスタンでもない。パミール高原に生きるタジク族の小さな町。山と草原、馬を繰る男と刺繍する女、ロバを引く老人。観光名所はほとんどないけど、こんなに暖かくて面白い土地はありません。

そして、中国からパキスタンのフンザに抜けるためには、このタシュクルガンのバスターミナルからバスで峠越えすることになります。この国境の町は、カラコルムハイウェーの入り口でもあります。

タシュクルガンってどこ?どう行く?

中国側からパキスタン・フンザを目指すなら、まずは中国最西端、新疆ウイグル自治区のカシュガルに行く必要があります。そして、カシュガルからフンザへ向かい途中、国境越えの際に前泊する町がタシュクルガンです。つまり、フンザに行く順序としては、カシュガルからタシュクルガンへ(1泊)、そしてカラコルム峠越え、ということになります。

 

カシュガルからタシュクルガンに向かう途中には、カシュガル郊外の見所として名高いカラクリ湖があります。高所にある湖なので、水は青く、後方に山々を望む清々しい景観を楽しむことができます。

自分の場合、カシュガル郊外からシェアタクシーでこの町に行くことにしました。現地の漢民族やウイグル族、タジク族と相乗りで、料金は一人120元(ウイグル族の車の方が安かった。漢民族の車は少し高い)、4人揃うと出発という形式です。所要時間ははっきりとは言えません。運転手の気分次第だからです。6時間くらいは目安としてみておくと良いと思います。運が良ければ4時間くらいです。3度シェアタクシーを使いましたが、2時間程度は差が出ました。

このシェアタクシー、街の中心部からは少し離れた場所で待機しています。「 塔什库尔干亦事处」とメモを書いて見せれば大抵の人がわかってくれます。エイティガール寺院の近くからタクシーに乗って10元もかかりません。ただし、2017年5月現在、タシュクルガンへの個人旅行ができなくなっていますので、シェアタクシーで向かうこの方法は使えなくなっています。喀什老城青年旅舎でツアーを使うなりカラクリ湖でリリースしてもらうなりの手段を相談してください。

 

また、カシュガルのバスターミナルからタシュクルガン行きのバスも出ているそうです。パキスタンのスストに行くバスも出ていると聞いていますが、自分では確認していません。

タジク族とともに

 小さな小さな国境の町。先に書いた通り、ここは単に国境の町というだけではなく、暖かく素敵な町です。

顔立ちも出で立ちも独特のタジクスタイルの子ども達が、陽が昇ったばかりの肌寒い通りを学校に向かいます。秋になると、街全体にピンク色のコスモスが咲き乱れ、女性たちのタジク帽子と鮮やかなコントラストを見せます。パミールの山々や湿原もとても美しいです。冬は冬で、荒涼とした大地と雪が美しい風景を見せてくれます。

 

この町、素晴らしいところはいろいろありますが、やっぱり一番は人です。気さくで優しくて、ゲストをもてなそうという気持ちが伝わってきます。植村直己(超有名な登山家)さんの本にも書いてありますが、いわゆる僻地っぽいところの人々の特徴なのか、「うちに来い」と言ってくれますし、行くとナンやチャイでもてなしてくれます。

ただの外国人旅行者に対して、ためらいなくもてなす心意気は、ぼくらも見習う必要があると思いました。ぼくは3度訪れたわけですが、どの訪問時も1度は民家にお邪魔しています。

村の少年たち
村の少年たち

女性のタジク帽子は、ものすごくきれいです。刺繍のみのものとビーズを貼り付けたものがありますが、特にビーズを貼り付けたものは、太陽の光に照らされるとキラキラ光ります!

ぼくの印象では、おばあちゃんは刺繍のみのもの、若い子はビーズ付きのものをかぶっている感じでした。帽子の高さもものによって微妙に違い、「こういう微妙な差でおしゃれするんだろうなー」とか思って感心。

 

そんなわけでお土産に是非とも買って帰りたいと思ったのですが、この女性用タジク帽子、意外と高いです。1000円くらいで買えると思っていたので、面食らいました。質がいまいちなものだと150元くらいで買えますが、良いものだと300元もします。日本円にしたら5000円以上。想定していた金額の5倍です。男性用の帽子も同様で、羊をきちんと使った上質のものだと、450元。値切っても380までしか下がりませんでした。

数件店を周りましたが、どこもそれ以上は下がりません。ゲストハウスのオーナーに聞いても、やはりそれくらいはするとの答え。ウイグル帽子の場合、安いものなら30元とかで買えるので、その10倍です。

結局「どうしても欲しい!」と思って買ってしまいましたけどね。これだけ高いとなると、相当物好きな旅行者でなければ買わないでしょうし、その分レアなはずです。

 山・平原・空の全てが美しい町

この土地に来て、美しい風景を語らないわけにはいきません。「ため息の出るような美しさとはこのことか……」朝日を見ながらそう思いました。

ずっと続く平原にポツポツと立つゲル、裾野からすっとそびえ立つ山々、そこから徐々に顔を出す太陽。平原の水路に太陽の光が眩しげに反射し、山肌はオレンジに染まります。たった30分程度で全てが色を変え、まるで全く違う景色を見ているかのよう。もちろん、どの景色もそれぞれ美しいです。

タシュクルガンが本で紹介されることはあまりないのですが(長倉洋海さんの写真集には出てきます)、この地域はぼくの中で世界の絶景といえるものでした。おそらくアフガンのワハーン回廊などもにたような雰囲気なのだろう、と想像しています。

 

タシュクルガンの中心部からカシュガル側に少しもどると、ひたすら平原が広がっています。もちろん遠くに山が見えます。羊が放牧され、本当にのどかです(たまに警察がいて緊張しますが)。細い道には数十分に1台程度しか車が通りません。何もありませんが、風が気持ち良いです。それほど長期な旅行なわけでもないのに、観光地ではないところで「風に吹かれて気持ち良いなー」って言えるだなんて、ものすごい贅沢ですね!

最近は漢民族向けの観光地化が進んでいるようですので、素朴な雰囲気を味わうのであれば、可能な限り早く訪れた方が良いと思います。

 

タシュクルガン唯一の観光地といえば石斗城。ぼくは遺跡にはそれほど惹かれないのですが、ここから見る朝日もなかなか良いです。遺跡と山をいれて広角の写真を撮ると、いかにもな感じでニンマリできます。

朝日に照らされる石斗城
朝日に照らされる石斗城
町の後方に広がる湿原。朝は馬に乗って走る男の姿も。
町の後方に広がる湿原。朝は馬に乗って走る男の姿も。

 宿泊事情について

自分は交通賓館と功徳賓館、そして北緯38度青年旅舎の3か所に泊まったことがあります。

ひとりなら青年旅舎のドミに止まれば安上がりですが、2人以上なら他でも別に高くありません。カシュガルから同じタクシーに乗ってきたパキスタン人(住んでるのはウルムチ)と一緒に交通賓館に泊まったこともあります。ちなみに、交通賓館から50mほどの距離にパキスタンのカレー屋さんがあって、とても美味しいです。

 

交通賓館はチェーン展開しているホテルですから、ありがちなビジネスホテルです。中国国内を旅行した人であれば、一度は目にしたことがあるでしょう。

功徳賓館も同じです。受付の人とかの感じがとてもよく、近くの食堂を教えてくれたり、祭りを見てからカシュガルに帰るにはどうしたらよいか一緒に考えてあれこれ案を提示してくれたりしました。タクシーのおっちゃんに頼んで、祭りを十分に見てからカシュガルに向かうように言ってくれたのもここの人です。暖房、WiFi、ホットシャワー完備。冬であれば1泊80元で個室に泊まれます。全く不満はありませんでした。

北緯は今までにぼくが泊まった中では変わった雰囲気のところで、ドミの他に雑魚寝用の部屋もありました。もちろんぼくは雑魚寝部屋に宿泊。街の中心から少し外れているからか、あまり人はいませんでしたが、なかなか快適に過ごせます。個人的にはどこも同じようなビジネスホテルより、いろんな旅行者の旅の跡が見えるゲストハウスの方が好きです。

ここも例に漏れず、いろんな人が旅行を楽しんでいった跡でいっぱい。ちなみに、ここでは自転車が借りられます(有料だけど安い)。ちょっと遠出してみたいときには便利です。

 


雨のち晴れ、明日はきっと晴れるよね。

 

※ カレー屋のオーナーがめちゃ格好良い!英語はペラペラ、その他にも数ヶ国語を話せるらしく、知性があふれる!「お前、学生なんだから腹減ってるだろ?好きなだけ食ってけよ。俺も昔は腹すかせてたもんさ……。」なんて言うあたり、男気ありすぎです。冬はやってませんでした。

※2 バスターミナルの近くにも青年旅舎があります(K2)が、そっちはイマイチらしいです。冬は閉鎖しています。途中一緒に旅をしていた中国人が言ってました。

 

フンザへの行き方もまとめています。詳しくはこちら↓

フンザへの行き方【まとめ】〜中国・ウイグルからパミールを越えて〜

2016の年末年始もタシュクルガンで過ごしました。その時の一部始終はこちら↓

3度目の新疆!タシュクルガンで写真を撮りまくる。

個人でのタシュクルガン訪問はツアー以外難しくなりました。

いざタシュクルガンへ!?最悪の事態が発生。

(2016.11.13、2017.1.14、5.14、6.13リライト)