アチェンガルゴンパ2017。再訪して隅々まで巡ってみることで見える全体像。【東チベット再訪その3】


甘孜で1日半ほど過ごし、ついに今回の目的地であるアチェンガルゴンパへ。甘孜で1日体を慣らしたこともあり、高山病気味の体の不調はすっかりよくなりました。

ここから乗り合いバンで45元、所要は2時間半から3時間の場所に目的のアチェンガルゴンパがあります。ちなみに乗り合いバンは大通りからデンゴンパに入っていく入り口付近にあります。近くを通るとたくさんの客引きが声をかけて来るはずですので、すぐに分かります。

甘孜→アチェンガルゴンパの道は絶景!

世界中に絶景ロードと呼ばれる道はたくさんありますが、少なくともぼくが今までに訪れた地域の中では1、2を争う素晴らしさです。ウイグルからフンザに向かうカラコルムハイウェーも素晴らしいのですが、こちらはそれとはまた一味違った雰囲気です。

甘孜の標高が約3,300、アチェンガルゴンパの標高が3,900m程度ですから、標高差は600mです。しかし実際にアチェンガルに向かう際には、大きな山を超えてアチェンに向かって下っていくコースを辿りますから、実際は4,500程度までは登っていくことになるのではないでしょうか。

最高地点から眺める山。見えているこの道を登ってきた。

徐々に道を登るとヤクが草を食み、山は荒々しさを増していきます。一緒に旅した友人は、「ヒマラヤよりずっと格好良い!」と興奮していました。あとは実際の風景をご覧あれ。実際に行ってみるとその何倍もダイナミックさを感じますよ!

初夏のアチェンガルは美しいグリーン。

アチェンガルゴンパの夏は短いです。草が青々としているのは6月から8月までの3ヶ月だけ。前回訪れた時は9月でしたが、すでに草が黄色くなり始めていました。

前回同様、乗り合いバンが到着してすぐのところにある「亜青賓館」にツイン120元でチェックインし、荷物を置いて散策です。定番の丘の上からの眺めを堪能したのち、あちこち歩き回ってみることにしました。

アチェンガルゴンパ。この僧房群には女性だけが住んでいる。

友人が「原っぱ」とか「牛」が好きだというので、アチェンガルの女性集落が見えるさらに奥に行ってみることにしました(実際のところ、友人は牛やヤクの写真ばかり撮影。ぼくは微笑ましいなと思いながら眺めていました。)。

原っぱには僧侶達の簡易テントとたくさんのヤクが。その部分だけ切り取れば、イメージ通りの昔ながらのチベットの風景です。

 

ぼくが訪れる直前の2週間はずっと曇り続きだったらしいのですが、なんとこの日は晴れ。夏らしい入道雲と青空が見事なコントラストを見せていました。

 

ウロウロしていると、しばらくアチェンに滞在している漢民族の女性と3人の僧侶に出会いました。ぼくと漢民族の女性は英語で会話、女性と僧侶は中国語で会話という形。ぼくが話したことは女性が通訳してくれます。

彼ら・彼女に誘われ、原っぱを突き進みます。しばらく歩いていくと、少年僧達が綱引き大会を行なっています。綱引きが終われば今度は皆で音楽を流し輪になって踊り始めました。

草原で踊る少年僧。

外野からのイメージは神聖な祈りを捧げているイメージのチベット僧ですが、綱引きをしたり踊ったりしているのを見ると、すごく人間らしさを感じました。

お坊さんのお家でツァンパを食べる。

この時期は毎日のようにスコールが降るので、名残惜しい気持ちを抑えて街の方面へ。するとお坊さんが家に来いと言い出します。ぼくも友人も興味があったので、一緒に行って見ることにしました。

 

家は8畳くらいでしょうか。老いた尼僧がじっと座ってマニ車を回しています。お坊さんの勧めで、ツァンパというチベットの主食をいただくことができました。小麦と思しき粉にバター、そしてお茶を混ぜ合わせます。素手でこれらをこねて粘土状にしたものをいただきました。

正直なところ、お世辞にも美味しいとは言えません。そして粘土状になったものを食べること自体抵抗感があります。しかしお坊さん達の好意を無にすることもできず、終始美味しい美味しいと言って食べることにしまいした。

なんとか食べきることはできたのですが、見た目以上に重たい食事となりました。そして、その後さらにレストランで夜ご飯。友人はすでにツァンパでお腹いっぱいになっていたのですが……。

そんなこんなをしていると、すっかり夜も遅くなっています。7月中旬のこの地域は、20時を過ぎないと暗くなって来ませんから、ついつい遅くまでアクティブに出歩いてしまいます。もうあとは宿でぐっすり眠るだけ。と言いつつ、高地なので眠りが浅くなりがちなのですが。

外周ぐるりと男エリアへ

前日の原っぱはものすごく良かったのですが、せっかく来たということでまだ行ったことがない場所へ。

まずはアチェンの尼僧エリアの周囲をぐるり。この日はご飯作りの日かのか、尼僧が寺院にボウルを携えてやって来て、そこで主食となるツァンパ作りに励んでいました。ものすごい数の尼僧がみんなで粉をこねている姿は壮観です。

途中で高僧がやって来ると、皆作業そっちのけで手を合わせていたあたりは、さすがチベット仏教の大僧院といったところでしょう。

 

島っぽいところが女性専用エリアであるのに対し、アチェンホテルの近くにある丘近辺は男性エリアになっています。男としては、男エリアの方が気楽で良いですよね。そもそも女性エリアには外周以外入れませんし。

所狭しと並ぶ僧の住居を間近で見られるので、足を運んでみる価値ありです。集落の中は、つぎはぎ的にできていったからか、複雑に入り組んでいて迷います。でもそれが生の姿なんだな、と感じました。

男性の僧坊群

ハイパーコルラ!巨大コルラをしていた

甘孜からアチェンに至る道の最終盤、アチェンホテルが最終地点のようにも見えるマニ車の列があります。これ、実はアチェンの丘をぐるりと取り囲むようにして作られている、巨大なコルラ用の道でした。

前回来た時も気にはなっていたのですが、結局高山病が酷すぎて何かを調べることができず。今回調べてみました。

このときはコルラをするための道だなんて思っておらず、マニ車を左手に辿ってみることにしました。歩けども歩けども道は続き、しかも雨が降って来そうな天気に。

 

そのとき、前方から歩いて来た人に話しかけられます。チベット語なのでよくわからなかったのですが。こちらがわからないそぶりを見せると、今度は身振りをつけて教えてくれます。

ん?反時計回りがダメで、時計回りが良い??と、ここでようやく自分たちがコルラを逆走していることに気づきました。そもそもマニ車がある以上、右手にマニ車を見据えながら歩くのが基本でした。基本中の基本を忘れていて、非常に申し訳ないことをしました。

ハイパーコルラの入り口。アチェンガルゴンパを巡ればこのタルチョが川にかかる様子は必ずみるはず。

写真のようにタルチョが川にかかる場所があります。アチェンに行けば必ず目にします。その場所がハイパーコルラの入り口、そこから丘をぐるりと回るようにして、アチェンホテルの位置まで戻って来れます。

ぼくのように間違わないで、正しくコルラをしてください。

 

 

そんなこんなで、あっという間に2日が過ぎてしまい、翌日にはアチェンガルを発ちました。ぼくにとっては一度訪れたことがある場所でしたが、2回目に訪れてもやはり素晴らしい場所でした。

今後、甘孜からアチェンに向かう際に通る山にトンネルが開通します。きっと大量の観光客が訪れるようになり、アチェンの風景も様変わりすることでしょう。

素朴なアチェンをみたいのであれば、早いうちに訪れることをオススメします。

 

雨のち晴れ、きっと明日は晴れるよね。

アチェンガル2016はこちら


東チベットの行き方まとめ ー信仰に生きる人々を訪ねて


※ 2016年の初東チベットと2017年の再訪をまとめました。

2016年の夏休みは東チベットへの撮影旅行でした。また、非常に素晴らしかったので2017年には、友人と共に再度訪れています。東チベットは非常に奥深い世界で、なんども行きたくなってしまいます。この記事では、東チベットってなんぞや?というところから昨年と去年、ぼくが訪れたときの記事をまとめてあります。


ところでみなさん、東チベットって言われて、何のことだかわかりますか?

「チベット」と言うだけならチベット自治区のことだと考えるでしょうが、実はチベット文化はチベット自治区以外にも存在します。大きく、自治区、インドのラダック、ネパール、ブータン、そして東チベットになります。

 

この東チベットですが、中国の四川省や雲南省や甘粛省等に広がっています。ぼく達が東チベットについて語るとき、カムとアムドという地方の名前で呼びます。

ぼくが訪れたのは、このうちのカム地方。チベット圏でも最大級の寺院であるラルンガルゴンパやアチェンガルゴンパが存在します。もう一方のアムドには九寨溝やラプラン寺などがあり、そっちはそっちで素晴らしいと聞いています。ざっくりとした違いは、カムはゴンパなどの文化系、アムドは草原が広がる自然系だそうです。

東チベットは、これまで一部のチベット好きや旅行マニアの間でのみその存在が認識され、一般の人にはその存在すら知られていませんでした。

というのも、この東チベット地域については地球の歩き方にすら案内がなされていないのです。正確には、一部シャングリラなどの地名が知られてはいますが、まとまってチベット文化圏として紹介されている大衆向けの本はありませんでした。

そして、非常に交通の便が悪いため、短期の旅行ではなかなか訪れにくい場所であるがために、今でも一般に旅行先として勧めにくい場所になっています。なんせ成都から直接カムの中心地ガンゼまで行くにしてもバスで18時間、中継時間を挟むと丸2日かかってしまうのですから。

 

そして、他のチベット地域同様、標高が非常に高く、ぼくが訪れたガンゼで3300m、アチェンガルゴンパについては3800mもありました。ガンゼからアチェンガルに向かう道路などでは4000mを超えますし、景勝地としても名高いリタンでは、その町自体が4000mを超えているそうです。

こんな一般に秘境そのものといっても良い土地柄ですから、地球の歩き方ですら詳しい歩き方を載せていません。ですから、旅の情報は経験者が体験談を記したブログとか、旅行人のチベット(これが最も詳しいと思われます)から得るくらいしか方法がありません。しかも、情勢がコロコロ変わる地域。最新の情報は結局現地で仕入れていくしかないんです。

実際、ぼくが訪れた際も、バスターミナルの位置が変わっていました(たぶんこのバスターミナルを初めて使った日本人はぼくです。オープン2日目だったので)。

↑東チベットはこの本に詳しいです。歩き方にはほぼ載っていません。

 東チベット旅行の計画と実際の道程

2016年の初回訪問時、ぼくが急ごしらえした旅行プランは以下のとおりです。


1日目:日本→成都

2日目:成都→ガンゼ

3日目:ガンゼ→アチェンガル

4日目:アチェンガルに終日

5日目:アチェンガル→ガンゼ

6日目:ガンゼ

7日目:ガンゼ→ラルンガル

8日目:ラルンガル

9日目:ラルンガル→成都

10日目:成都

11日目:成都→日本


そして、実際にどう動いたかというと、こんな感じになります。

1日目:日本→成都

2日目:成都→康定(カンディン)

3日目:康定(カンディン)→ガンゼ

4日目:ラルンガルにトライするも失敗(アチェンガルに長めにいることにする)

5日目:ガンゼ→アチェンガル

6日目:アチェンガル(高山病で死にかける)

7日目:アチェンガル→ガンゼ(死にそうだったので早々に退散)

8日目:ガンゼ→康定(カンディン)

9日目:康定(カンディン)→成都(ちゃいなホリデーのため、超渋滞)

10日目:成都

11日目:成都→日本


あまりにも予定と違いすぎて笑えますが、旅行ってこんなもんだと思います。

東チベットは政情が不安定です。チベットと中国漢民族の確執は有名ですが、今でも緊張状態が続いています。ぼくは今回、ラルンガルゴンパに行きたいと考えていましたが、外国人は入れないと言われ、泣く泣く元いた町に引き返すことになりました。

2016年9月末現在、政府がラルンガルに広がる僧坊のうち外側に位置するものを破壊したりしているそうです……。2017年7月も状況は変わらず、通常ルートでラルンガルに行くことはできません。

 

また、2016年の訪問時は風邪をひいてしまい、急激に体力が低下。アチェンガルゴンパでは寒気とだるさ、高山病による大変な顔のむくみなどに襲われました。高山病って死に至ることもある病気ですから、かなり怖かったです。

こういった短期の旅行で、しかもよくわからないようなところに行く場合にはアクシデントがつきものです。ラルンにしてもアチェンにしても、そして帰りの渋滞にしても、必ずしも想定していたものではありませんでした。

もし1日の余裕もなく渋滞に巻き込まれていたら、日本に帰れるかどうか不安で仕方がなかったことでしょう。そんなわけで、多少の余裕を持つことが旅行成功の秘訣だなぁ、と改めて感じました。

 東チベット周遊の経験から次の旅人へ

今回、ざっと回ってみて感じたことをメモしておきます。ぼくがいろんな人のブログを参考にさせてもらったのと同様に、これから東チベットを訪れる人がぼくのブログを参考にしてもらえると嬉しいです。

 

東チベット・カム地方の周遊においては、リタンとアチェンガル、そしてラルンガルゴンパの3箇所をまわるのが理想ですが、ぼくのように日数が少ない場合には、最初からラルンガルとアチェンガルに絞った方が賢明な気がしています。ぼくが東チベットを再度訪れるとしたら、リタンとシャングリラなどの南部を中心にまわると思います(結局アチェンガル再訪になった。シャングリラ周辺は中国人観光客でごった返しているそうです)。

 

また、初回の2016年訪問時、ぼくは康定に寄る予定がなかったのですが、あまり体調が良くなかったこともあって、多少のんびり目に移動することにしました。

高地への慣れという意味でも、康定で一泊しておいたことはプラスに働いていたと思います(というかこれがなかったら生きていたかどうか……)。死にかけた身から言わせてもらうと、本当に高地をなめたらダメです。顔がパンパンに膨れ上がって、右目がつぶれかけました。「いのちだいじに」です。

2017年の訪問時は、ガンゼで若干高山病の気配を感じたため、1日ガンゼで体慣らしを行いました。そのお陰か、アチェンガルではほとんど苦しむことなく歩き回ることができました。ちなみに、高山病用の漢方薬はミセスパンダに売っています。

あと、この地域も日差しが強いです。リップクリームと日焼け止め・ニベア的なものは必須だと思います。特にこの地域は食べ物が辛いので、唇がやられるとかなりしんどいです。もし万が一忘れてしまったら、超市で買いましょう。

 東チベット関連記事一覧

個別の記事については、こちらからどうぞ。

【初めての東チベット 2016年9月】

康定にも見どころあり!東チベット・カム地方の州都でまち歩きを。

甘孜で美しい山々と自然なチベット世界を満喫!問答風景も!

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アチェンガルゴンパ:祈りに人生を捧げる天空の街

成都でパンダと麻婆、お土産購入!

【東チベット再訪 2017年7月】

東チベット再訪。成都から康定、そして絶品松茸鍋。

甘孜(ガンゼ)を満喫!ゴンパにピクニックに温泉!

アチェンガルゴンパ2017。再訪して隅々まで巡ってみることで見える全体像。

丹巴(ロンダク)へ。ギャロンチベットと石塔で有名な美人谷。


東チベットは、旅人であれば一度は訪れてみるべき土地だと思います。ぼくは結婚を控えた友人に、なんとか結婚前の自由がきく時期に一度は見せてあげたいと思い、2017年に連れていったほどです。

この地域は、「一生の間に絶対に見るべきもの」の一つに挙げて良いくらいです。それくらいぼくたちの日常から離れ、かついろいろと考えさせられる地域です。

今後、中国の劇的な変化の波に押され、今後急速に変化していくことでしょう。早めに訪れることをお勧めします。

雨のち晴れ。どんな雨もいつかはあがるよね。

2016.10.18執筆、12.24、2017.0806リライト