デリーのチベット人難民街マジュヌカティラへ:ラダック旅行番外編


ラダックへ旅行に行くとき、かならずデリーを経由しますよね。ラダックでチベット圏を満喫して帰るとき、もう一押ししてみませんか。

ぼくがレーから日本に帰るとき、朝早くの飛行機でインド・デリーに飛び、そこから夕方まで待つ必要がありました。どうにも中途半端な時間で、デリーのあちこちを見るには時間が足りないし、かといってずっと空港で過ごすのも退屈です。そんなとき、ワンポイントだけのイメージで、旅行の締めくくりとしてデリーのチベット人街に行ってみました。

そんなわけで、デリーにあるチベット人難民が住んでいる地区、マジュヌカティラをご紹介します。

 

 マジュヌカティラってどんなとこ?

 

マジュヌカティラは、チベット難民が住んでいる地域です。

チベット人難民が住む地域といえば、まさに自分が旅行してきたラダックや、ダライ・ラマが住んでいるダラムサラをイメージします。ぼく自身、マジュヌカティラなんて聞いたこともありませんでした。そんな状態ですから、もともとマジュヌカティラに行くなんて予定は全くなかったのですが、ラダック旅行の途中でたまたま出会った人に教えてもらい、せっかくなので一緒に行かせてもらうことにしました。

 

ぼくの場合、ラダック旅行を終えてレーからデリーに到着した後にのコリの時間を使うものでしたので、インディラガンジー国際空港からマジュヌカティラに直行することにしました。一緒に行動する日本人グループと一緒にタクシーをシェア。

マジュヌカティラを散策する前に、まずは腹ごしらえ。朝レーを出てからだいぶ時間が経っていたので、すでにお昼を過ぎています。この地域はチベット難民街だけあって、チベット料理を食べることができます。せっかくインドのデリーにいるのに本場のカレーを食べないのもどうよ?って感じがしないでもないですが、今回の旅行はチベット旅ということで、皆でチベットレストランに入りました。モモやトゥクパ、チョウメンなどチベット風の料理は一通りあります。そしてなかなか美味しい。

入り口にほど近い陸橋にはタルチョがはためきます
入り口にほど近い陸橋にはタルチョがはためきます

腹ごしらえを済ませて実際に入ってみると、とても薄暗くて、まさに難民の方が暮らしているというイメージにぴったりでした。暗い路地に家や店が並んでいて、ところどころにチベット地域特有の五色の旗・タルチョがはためいています。観光客も以外と来るようで、チベットグッズを売っている土産物屋もあります。

地域の中央はチベット仏教寺院がある広場になっています。寺院はそれほど大きくないのですが、ダライ・ラマの肖像画しっかり掲げられ、大きなマニ車もあるなど、チベット寺院の特徴はしっかり備えたもの。ラダックであれば真っ白な外壁のゴンパが多いのですが、ここでは中国風の建物で、その点はラダックと大きく違います。

 

この広場、ちょっとした軽食を食べれる屋台が出ていたり、女性がミサンガを売っていたり。野菜売りの少女もいました。なんとも穏やかな空気が流れています。人々の憩いの場でもあるようです。チベット仏教の方は非常に信仰心に厚いということも、この広場の周りに人が集まる理由の一つでしょう。

その一方で、普段からそうなのかわかりませんが、このときはチベット人の境遇に抗議の意を示すためにハンガーストライキが行われているようでした。正面にチベット仏教寺院、背面にハンガーストライキの横断幕が掲げられている様を見ると、自分が難民街に来ているということを思い出します。

マジュヌカティラでは薄暗い路地が続きます
マジュヌカティラでは薄暗い路地が続きます

ラダックももともとはチベット本土から渡ってきた人たちが住んでいる地域ですが、長い時間をかけてインドに定着しているので、悲壮感みたいなものはありません。チベットよりもチベットらしいと言われるのも、そんな穏やかな暮らしぶりがあるからでしょう。

他方、このマジュヌカティラはチベット人が迫害等の厳しい状況に置かれていることを象徴しているようです。宗教や政治は様々な事情で軋轢が生まれやすい分野であることはわかっていますが、できることならみんなが幸せに暮らせれば良いのになぁ……なんて思いました。

 


 

「ラダック」なんて聞いたこともないという人が多い中、その存在を知って旅せずにはいられないような皆様。せっかくラダックまで行ってチベットに触れたのなら、最後の一押しもチベットで締めてみませんか?ラダックとはまた違った雰囲気のチベット地区に、いろいろと思うところも出てくると思います。

 

雨のち晴れ。いつかみんなが幸せに暮らせますように。

 

ラダック・ザンスカール本編はこちら↓

ザンスカールへの行き方まとめ:ラダックの最深部へ


白銅の地ザンスカール:厳しさと優しさ、そして地上の果て


ラダックからさらにバスやジープで2日。日本からだと最低4日はかかる、最果ての地ザンスカール。
カルギルからでも12時間かかるこの地は、ラダック地域がかなり観光化されているのに比べて、昔ながらの暮らしが色濃く残っています。

 

 ザンスカールの過ごし方



悠々と歩く牛やヤク、道端でたたずむ靴磨きのおじさんや僧侶、朝早くから麦をいるおばちゃん。ザンスカール地域の中心と言われるパドゥムでさえ、日本で言えば限界集落そのもの。忙しく働くなんてことは決してなく、昔ながらのゆったりとしたペースで暮らしています。

 

この地域には、プクタルやカルシャ、ストンデといった著名なゴンパ、旧王宮ザンラなどの見所が点在しています。ザンスカールがラダックと比べても著しく田舎であるにもかかわらず、ゴンパは荘厳です。パドゥムゴンパからは15キロ以上離れたカルシャのゴンパまで見渡すことができます。

ほとんど雨が降らない乾いた土地の極度に乾燥した山肌に打ち付けられたかのように立つカルシャゴンパは、まさにイメージするゴンパの姿そのものです。
フンザの谷とこれらのゴンパを合わせたら天空の城になるのではないか。。。と思える風貌です。不規則で、一見無造作に建てられた可能ように見えるゴンパは、その無造作さ故に、かえって神聖さを際立たせているようです。

 

こうした見所も数多く存在するザンスカールですが、この地域の何よりの魅力はその地域で普通に暮らしている人々の姿そのものです。もちろん、文明化の波はこの地域にも訪れていて、パソコンで洋画の吹き替え(!!)を見ていたりします。
主要な道路は、コンクリートで舗装されているところもあります。それでも、農業・畜産を中心とした人々の暮らしぶりは昔とそれほど変わっていないのではないかと思えます。

朝、早起きして散歩してみましょう。晩秋の道端では、麦を大きな鍋で炒るおばちゃんの姿が。図々しくも近づいていくと、笑顔で「ティー?」と迎え入れてくれます。
山頂から光芒を煌めかせながら登る太陽にかぶさるように、炒った麦から煙が立ち上ります。冷たい空気と立ちこめる香ばしい香りには、なかなか立ち会うことができないでしょう。

 

私が訪れた時期がシーズンオフだったせいもあってか、カルシャでもストンデでも、お坊さんが親切に案内してくれました。お昼時だったこともあり、両僧院で、お坊さんたちと一緒にランチも。そのあとは案内してくれたお坊さんの部屋でチャイをご馳走になりました。
海外に旅に出るようになった初めの頃は、有名な遺跡などを訪れるものだと思っていましたが、今となっては、こうした現地で普通に暮らしている方々と話をしたり、親切にしてもらったことが、何よりも嬉しく、記憶に残ります。

 

 ザンスカールの旅情報



ラダック・ザンスカールトラベルガイドには、比較的高めのホテルが載っていますが、現地にはゲストハウスがいくつもあるので、シーズン真っ盛りでなければ、それほど心配しなくても大丈夫です。
パドゥムで出会ったイタリア人は、現地の人の家にホームステイしていると言っていました。ホームステイも難しくないそうです。次回チャンスがあれば、ぜひローカルな人の家にホームステイしてみたいものです。

ただ、ここからトレックに出かける場合には、事前に予約をしておいた方が良いようです。シーズンオフの時期は農作業の時期と重なり、どこも男手が足りなくなっています。ですので、なかなかガイドなどを探すのも難しくなるのです。

 

現在、パドゥムからカルシャやストンデ、ザンラなどへのバスは出ていません。昔は存在したようですが、当然ながら赤字となり、今はバスの代わりにシェアタクシーが公共交通の役割を担っているようです。この点はラダックザンスカールトラベルガイドとは異なります。

そんなわけで、毎日16時頃発、翌日の朝8時頃にパドゥムに戻るシェアタクシーが、唯一の公共交通手段となります。自分で1台チャーターするのに比べ、かなり安上がりに済ませることができます。100〜150ルピー程度でザンラやストンデまで行けます。

このシェアタクシーやチャーターを除くと、移動手段は徒歩くらいになってしまうのですが、運が良ければ歩いている途中に車で拾ってもらえます。期待のしすぎは禁物ですが、自分は何度も歩いている最中に声をかけてもらいました。

 

 カルギルからパドゥムへの移動


カルギル→パドゥムへのバスは1週間に1度程度。
シェアタクシーの相場は1000ルピーから1500ルピー。運次第なので、1500のつもりでいると良いです。

ガイドには、「シェアタクシーは敷居が高い」と書いてあるが、そんなことはありません。バックパッカーを経験した人であれば、普通に交渉できると思います。このシェアタクシーは、旧中央バスターミナル(現在は名前が変わっているので注意)から出発しています。フロントガラスにパドゥム行きであることが明示されていますし、その辺を歩いているおじちゃんに声をかければ探し出してくれます。

仮に見つからないとしても(もしくは運転手が何処かに行っていていないという場合でも)、ゲストハウスでお願いすれば、探し出してくれます。こういった僻地では、自分で探すよりもゲストハウスなどで聞いてみる方が手っ取り早かったりしますね。ぼくは泊まったゲストハウスで探し出してもらいました。

 

カルギルからパドゥムに向かう途中、ヌン、クンという高峰や、氷河が見られます。ヌンやクンほど美しい山はない、とカルギルの人が言っていました。また、ダラン・ドゥルン氷河はインド最大規模らしく、S字を描く非常に壮大なものです。

スルの谷はガイドブックにもさらりとしか触れられていませんが、非常に美しいところです。同じく旅をしていた人も、スルの評価がなぜされてい無いのか非常に不思議に思っていました。スルの谷に泊まってヌン、クンをゆっくりと眺めるのも良いですね。それ以外の山々も峻厳という言葉がふさわしい、美しい景色です。野生のマーモットもパドゥムに向かう途中にあちこちで見れます。

 


 

ザンスカールに何があるの?と言われると、非常に答えづらいです。ゴンパ以外に何もないからです。気候は厳しいし、食べ物だって十分とは言えません。宿のシャワーは水だし、そもそも町自体がすごく小さいです。

それでもザンスカールが魅力的なのは、ただただ広大で厳しい土地なのに、そこで自分たちなりの人生を送っている人に出会えるからだと思います。ザンスカールのような土地に行くと、人間ってなんなんだろう?人生ってなんだろう?と考えずに入られません。なかなかしんどい旅でしたが、やっぱり行ってよかったと感じています。

 

雨のち晴れ。明日こそきっと晴れるよね。