キルギスタン友情物語。名も知らぬ奥地の村で羊飼いになった!


越えれるかどうかも分からなかったイルケシュタム峠を無事に越え、丸一日かけてカシュガルからキルギスはオシュまでの移動に成功。思いがけず高級ホテルで一夜を過ごしました。

ぼくにとって中央アジアは未知の世界。数日間ですが、ドキドキワクワクのキルギス旅行の始まりです。

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初めてのキルギス!朝起きたら早速撮影へ!

キルギスで初めて迎える朝、もちろん朝から撮影です。オシュがいつもこうなのかわかりませんが、青白い霧が出ているようでした。

旧ソ連圏の国を訪れるのは初めて。昨日国境を越えてからずっとワクワクしていたのですが、徐々に明るくなっていく朝方の散歩は、よりワクワク感が高いものでした。使っている文字も違えば、建物の雰囲気も違う。あぁ、これがソ連の町なのか、と感じたわけです。

その一方で、昔ながらのキルギスってどこにあるんだろう?キルギスタンってキルギス人の土地って意味だよね?なんとかして昔ながらの文化を見てみたい!と強く思い……ながらホテルの高級朝ごはんをいただきました。

飛行機を予約して、郊外へ!

いるケシュタムを越えられるかどうかもわからなかったので、ビシュケクからカシュガルまでの飛行機は取らずにいました。だからこのタイミングでなんとか取っておくことが必要です。

ネットも繋がるし余裕でしょ……と思ったら、なんとエラーが出てチケット取れず。仕方がないので、現金でチケットを購入することに。これが意外と時間がかかり、結局「さて出発だ!」となったのは午後の2時。あまりにも時間がかかってしまい意気消沈でした。

 

ホテルのお姉ちゃんに「ローカルな場所で、観光っぽくないところ!自然とかじゃなくて人が普通に住んでる場所!!」という無茶苦茶なリクエストをしたところ出てきた場所に向けて、ようやく出発です。

もちろん乗り物は乗合タクシー。観光シーズンとは真逆のキルギスに、ぼく以外の外国人はいません。現地の人との英語でのコミュニケーションも取れない中、窓の外の風景に何度も感嘆の声をあげ、「キルギス、グッド!!」と言い続けます。

そうすると、車の人たちもすごく喜んでくれて、途中からは声をあげて笑い出しました。地球の歩き方に乗っている簡単会話帳を頼りに、自分の名前をキルギス語で伝えてみたら、これもまた大喜び。言葉は通じませんでしたが、和気あいあいと車の旅は続きます。

 

まさに野を越え山を越え…というか雪山を越えて突き進むと、ドライバーの兄ちゃんが「飯食う・寝る・俺」みたいなジェスチャーを始めます。翻訳すると「俺ん家来て泊まってきなよ。飯も出すからさ。」です。

なんと気に入られて家に連れて行ってもらえることになったんです。どこに連れて行かれるかわからないし、もしかしたら身ぐるみ剥がされるかもしれないというリスクはありましたが、こんな機会は普通ありえません。もう覚悟を決めてついていくことにしました。

連れて行かれた名もなき村。民家にホームステイ!

到着したのは16時30分頃、日が傾き始め、少しずつ辺りは薄暗くなってきました。本当は急いで写真を撮り始めたかったのですが、ドライバーは着くや否や、すぐに家の中に入るよう促します。

招いてもらっていながらそれを断るのも失礼かな、と思い後ろ髪を引かれる思いでとりあえず家へ。そうしたらお父さん、お母さん、それに弟夫婦が。ドライバーさんの帰省だったわけですね。

 

ドライバーさんの名前は、ジョキ。なんとなくコミュニケーションをとっていると、お母ちゃんが床に大きめの風呂敷みたいなのを広げ、そこにパンを置き始めました。これがキルギス的チャイのようです。ウイグルパンと同じ真丸いナンと、杏やブルーベリーのジャム、それにヤクのバターをつけて食べるのがキルギス流。

若い女性がいろいろお世話するのも風習なようで、弟さんの奥さん(なんと21歳。めちゃ美人でしたw)がお茶を何度も入れてくれます。ナンは硬くなっているので、たまにお茶につけながら食べました。最後はムスリムのごちそうさまで〆。

 

せっかくなので持ってきていた付箋で折り鶴を折ってあげたのですが、これが大好評。完全に偶然ですが、お父さんがもともと美術の先生で、日本の折り紙も知っていたんです。これが日本の折り紙か〜、という感じですごく楽しんでもらえました。こんなに楽しんでもらえるなら、次からはもっと綺麗な折り紙を持ってこようと決心したのでした。そんなわけでこの日は就寝。

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これがキルギスか!もはや異世界ファンタジー。

キルギスでも本気で写真撮りまくる!来る前から今回の旅行は撮影メインと決めていましたから、この日も朝早起きして撮影へ。しかしさすが高地、寒い!!

まだ日の出る前の薄暗い時間でしたが、それでもキルギスの男たちは働き始めていました。おっさんと中学生くらいの男の子が羊を追い立てつつ、日本で言えば田舎の道だよねーくらいのメインストリートをだらだらと歩いては道行く人と談笑しています。

 

ひとしきり談笑を終えて一人ふらふらしていると、黒っぽい服を着た少年と出会いました。もちろん言葉は通じません。「こっちこいよ」と身振りで伝えてきたので、多分チャイだと思ってついて行きました。

……あれ、谷に入った。目の前に大量の羊。あ、この子羊飼いなんだ、と気づきます。羊飼いの少年と大量の羊を撮影しながら、ずんずんずんずん奥地へと進みます。極寒・異国の雪山を羊飼いの少年と二人で歩いているということがなんだか不思議なかんじでしたが、すごくワクワクするものでした。

まさに山を越え谷を越え。途中で少年がジェスチャーで「俺は先頭に行く、お前が後ろから追え。」と伝えてきて、ぼくは雪を食べ始めた羊を追い立てつつ、先頭の少年についていくように促しました。まさにリアルな羊飼い体験です。本当に色んな人生があるんですね。

ようやく少年が立ち止まり、羊が勝手に前方に歩き出します。よく見ると、これまでは銀世界だったのに、前方に雪がかぶっていない土地があります。そこで草を食べるんですね。

 

少年は座り込み、ぼくがこれまでに撮ってきた写真の鑑賞大会の始まりです。その時に持っていたのはウイグルとキルギスの写真だけでしたが、特にウイグルの写真には興味津々のようでした。

30分ほどそうしていたでしょうか、さすがにぼくも1日羊飼いになっているより村に戻って違うことがしたかったので、ここでお別れ。すごく仲良くなったので、記念にぼくがつけていたマフラーをプレゼント。一緒に記念撮影・ハグをして、バイバイです。元来た道を一人歩きだすのでした。

 

10分程度歩いたでしょうか。村への道のりを一人歩いていると、後ろから白馬に乗ったおじちゃんが。ニコニコと挨拶を交わした後、おじちゃんが馬に乗って行けというではありませんか。

非現実的な世界に慣れてきつつあったぼくは、お礼を言っておじさまといっしょに白馬にまたがります。何気に初めての乗馬です。まさか初体験がキルギスになるとは思ってもいませんでした。別に走らなくても馬って早いんですね。トコトコトコトコと、軽やかに村まで送り届けてくれました。助け合いが当たり前という感じなのか、おじさまは何も見返りを求めずに、また馬に乗って去っていきました。

 

このあとは村の中を散策して、地元の人にお家に招待してもらったり、民泊させてもらった家の人に近くの山まで連れて行ってもらったりしました。村の大通りでは子供たちが水汲みのために働いていたり、馬やソリで遊んでいたりと、とてものどかな村でした。

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この日、もう1泊していけと言われて、言葉に甘えてさらに一晩。次の日の早朝にビシュケクに向けて旅立ちました。キルギスの観光シーズンといえば夏。そして、ぼくが訪れた村は観光地でもなんでもありません。

でも、こういう観光地ではないところにこそその地域の昔からの暮らしがあるんだよなぁ、と改めて感じました。真っ白な銀世界は本当にファンタジーの世界。またひとつ得がたい経験ができたというのが実感です。

 

雨のち晴れ。明日はきっと晴れるよね。


イルケシュタム峠を越えキルギスへ!荒涼とした絶景ロード。


さて、ついに今回行けるかどうかもわからなかったキルギスへ。キルギスへは中国最西端のイルケシュタム峠を越えていく必要があります。カシュガルからイルケシュタム峠を経てオシュまでの道のりは、遠く険しいものでした。

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朝早起きしてバスターミナルへ

朝8時に起床、8時30分にはエイティガール脇のユースホステルを出発して長距離バスターミナルへ。近くのバス停から1元です。9時にバス停到着。どこが入り口かもよくわからなかったけど、うろうろして周りの人に適当に「ウーチャン!」と言うと、なんとか分かってもらえます。

バスターミナルに着いてバスチケットを購入しようと試みるも、冬季休業中。ここまでは想定の範囲内。その町に行く地元民がいないわけないですから、必ずどこかにシェアタクシーが隠されているはず。

 

しかしそれを聞いてみるも「メイヨー」。中国人の「無い」は全く当てにならないので、しばし粘ってみます。どうしてもウーチャンに行かないといけないんだ、そこからいるケシュタムを越えたいんだとしつこくも優しげにお願いすると、しぶしぶ調べてくれました。

……普通にあるじゃん、シェアタクシー。やはり「メイヨー」ではありませんでした。ちなみにぼくが覚えている中国語は「ニーハオ」「シェシェ」「メイヨー」の3つだけです。最後のものはもちろん、中国旅行で覚えました。

 

そこから予定通りシェアタクシーに乗り、案の定30分程度待たされたのちに4人揃ってようやく出発。イルケシュタムの国境は昼休み時間があるということだったので、ちゃんと国境を通過できるか若干不安でした。もっとスムーズに行きたかったのに。

まあそうは言っても旅にトラブルはつきもの。この程度だとトラブルにすら入りません。ここからは快適にドライブ。次第に荒地になっていくウイグルの大地を眺めながら、あっという間にウーチャンに到着です。ここから国境までは、運転手との交渉。イルケシュタムまで行きたいと言ったら、10元で引き受けてくれました。非常に良心的で助かりました。

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いざ、イルケシュタム峠!

イルケシュタムの入り口に着くと、なぜかそこから500mくらいでしょうか、国境の検問までしばらく歩いて向かいます。1本道なので迷うことはないですし、何気に周りの景色も綺麗なので良しとします。

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検問に到着してニコニコしながら「イルケシュタム!」と言うとなんとも好意的。事前に調べた情報では隅から隅まで調べられるということだったので若干不安がありましたが、写真の1枚すらみられませんでした。そんなわけで検問はちょい待ちくらいであっさり通過。

検問を越えてからキルギス側の国境までは長距離ドライブ。乗り合いバンは固定料金で100元です。運転手が150元取ろうとしてきましたが、100元だよね?と確認したらすぐに折れました。ぼったくりはダメ、絶対。

そんなこんなでドライブスタート。人物写真をメインで撮っているぼくですが、絶景で名高いこの道については観光気分で楽しみにしていました。あいにくの曇り空でしたが、それでも絶景ロードにふさわしい荒涼とした大地。きっと夏には緑が映えるのでしょう。

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しばらく走って謎のお昼休憩(お金は取られなかったけどぼくが食べるものはなかった。干しぶどう持ってきておいてよかった。)、そして検問が。いったいいくつ検問を作れば気がすむのやら。非効率極まりない気がするのですが、何か別の理由でもあるのでしょうか。キルギスにほど近いこの検問に着く頃には、もう雪が降り出していました。極寒のイルケシュタム。良いではありませんか。

そんな悠長なことを思っていたら、乗っていたバンが滑って動けなくなりました。良くある良くある、と気持ちを落ち着かせようと思いましたが、なにぶん寒い。早く出発してくれ!と願うばかりでした。

 

ぼくの願いが天に届いたのか、別の車に乗り換えて出発することができました。ラッキーと思うもつかの間、なんとぼくたちが乗るのは軽トラの荷台。え、強風と雪がすごいんですけど……。もうここからの道のりはひたすら寒さとの戦いでした。幸いだったのは、ここからキルギス国境までが近かったこと。凍えながらついにキルギス側に到着です!

キルギス側の検問はさらにフレンドリー。「ウェルカムトゥキルギスタン!」と言って満面の笑みで迎え入れてくれました。高感度高し。国境ってだいたいイライラするものですが、キルギス側国境は非常に和やかで気分もよかったです。

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 峠を越え、オシュ目指して一直線!

キルギス側国境を気分よく越えたまではよかったのですが、ここからが問題でした。タクシーがない。というか多分あるけど一緒に来た人がやたら値段交渉している。そんなわけで他の同乗者とともに極寒のキルギスで寒風に吹かれながら交渉がまとまるのを待ちます。近くを歩いているロバの毛が雪で凍っていました。寒さ際立ちます。

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そうこうしているうちにようやくまとまったと思ったら、オシュまでのお値段は240元。確かに高いと思いつつ、他に手段もないし、何より寒かったので了承しました。けちったところで節約できるのは日本円にして1000円にも満たないでしょう。

個人的にはサリ・タシュというわりかし近くの村で1泊しつつ、周りの農村も写真に撮りたかったのですが、ここはもう周りに合わせることにしました。オシュから近郊の村に行くのも大して変わらないと思ったからです。

 

ここからは運転手のおっちゃんにお任せでオシュまでドライブ。今日何時間車に乗ってるんだろう?というくらい車に乗りっぱなしです。朝昼とほぼ何も食べていないぼくはお腹ペコペコ。途中の食事処に立ち寄って羊肉のスープとナンのセットを食べた時は、いつも以上に美味しく感じました。

また、キルギスの普通の食堂の雰囲気も楽しめて、これはこれで貴重な体験になったと思います。向こうの人ってみんなでちょっと高い台に座ってマットを囲んで食べるんですね。テーブル・イスのセットもあったけど。

ご飯を食べて満足し、いざ出発!と思いきや、なんと車が動かない。あるあるですね。こんな時こそ、暗闇の中で貴重な写真を撮るチャンスと気持ちを切り替え、ひたすら写真撮ってました。特に手伝えることもないしね。お陰様でかなり気にいる写真が撮れました。おっちゃん、有難う。

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ここからさらに真っ暗闇の吹雪の道をひた走り、オシュに到着したのはもう深夜。正真正銘、丸一日がかりの移動になりました。なぜか同乗者がキルギスの高級ホテルに連れて行ってくれ、一緒にいたアメリカ人と部屋をシェア。オフシーズンということで1部屋60ドルでした。普段は5ドルとか10ドルの所に泊まっているので、かなり高く感じましたが、もはやホテルを探し直す気力もなく、たまには贅沢することにしました。なんだかんだで快適だし、朝ごはんもたっぷり美味しいものが出たのでそれなりに満足でした。

 


 

長い長い道のりを経て、ようやくキルギスに到着したぼく。キルギスに入ってから一気に雰囲気が変わり、「ここは中国ではない!」という感じがすごくしました。人々の顔つきも言葉も変わり、食事も風習も変わるってすごく面白いです。一つ峠を越えたら、そこには文字通り全く別の国がありました。

当初は国境が空いているかどうかもわからず、キルギスに行けるかわからない状態で渡航していましたが、こうして無事に入国できてよかったよかった。さて、次の日から写真撮りまくろう!と心に決めてベッドに入るのでした。

雨のち晴れ。キルギスでは晴れか雪が良いなぁ。