タシュクルガンでパミールの息吹を。タジク族が住む国境の町。


【重要】5月4日より、カシュガルからタシュクルガンへの個人旅行が禁止されました。ツアー会社に登録すれば行けるようです。

 

カラコルムへの入り口、タシュクルガン(塔什库尔干)。中国でもウイグルでもなく、パキスタンでもない。パミール高原に生きるタジク族の小さな町。山と草原、馬を繰る男と刺繍する女、ロバを引く老人。観光名所はほとんどないけど、こんなに暖かくて面白い土地はありません。

そして、中国からパキスタンのフンザに抜けるためには、このタシュクルガンのバスターミナルからバスで峠越えすることになります。この国境の町は、カラコルムハイウェーの入り口でもあります。

タシュクルガンってどこ?どう行く?

中国側からパキスタン・フンザを目指すなら、まずは中国最西端、新疆ウイグル自治区のカシュガルに行く必要があります。そして、カシュガルからフンザへ向かい途中、国境越えの際に前泊する町がタシュクルガンです。つまり、フンザに行く順序としては、カシュガルからタシュクルガンへ(1泊)、そしてカラコルム峠越え、ということになります。

 

カシュガルからタシュクルガンに向かう途中には、カシュガル郊外の見所として名高いカラクリ湖があります。高所にある湖なので、水は青く、後方に山々を望む清々しい景観を楽しむことができます。

自分の場合、カシュガル郊外からシェアタクシーでこの町に行くことにしました。現地の漢民族やウイグル族、タジク族と相乗りで、料金は一人120元(ウイグル族の車の方が安かった。漢民族の車は少し高い)、4人揃うと出発という形式です。所要時間ははっきりとは言えません。運転手の気分次第だからです。6時間くらいは目安としてみておくと良いと思います。運が良ければ4時間くらいです。3度シェアタクシーを使いましたが、2時間程度は差が出ました。

このシェアタクシー、街の中心部からは少し離れた場所で待機しています。「 塔什库尔干亦事处」とメモを書いて見せれば大抵の人がわかってくれます。エイティガール寺院の近くからタクシーに乗って10元もかかりません。ただし、2017年5月現在、タシュクルガンへの個人旅行ができなくなっていますので、シェアタクシーで向かうこの方法は使えなくなっています。喀什老城青年旅舎でツアーを使うなりカラクリ湖でリリースしてもらうなりの手段を相談してください。

 

また、カシュガルのバスターミナルからタシュクルガン行きのバスも出ているそうです。パキスタンのスストに行くバスも出ていると聞いていますが、自分では確認していません。

タジク族とともに

 小さな小さな国境の町。先に書いた通り、ここは単に国境の町というだけではなく、暖かく素敵な町です。

顔立ちも出で立ちも独特のタジクスタイルの子ども達が、陽が昇ったばかりの肌寒い通りを学校に向かいます。秋になると、街全体にピンク色のコスモスが咲き乱れ、女性たちのタジク帽子と鮮やかなコントラストを見せます。パミールの山々や湿原もとても美しいです。冬は冬で、荒涼とした大地と雪が美しい風景を見せてくれます。

 

この町、素晴らしいところはいろいろありますが、やっぱり一番は人です。気さくで優しくて、ゲストをもてなそうという気持ちが伝わってきます。植村直己(超有名な登山家)さんの本にも書いてありますが、いわゆる僻地っぽいところの人々の特徴なのか、「うちに来い」と言ってくれますし、行くとナンやチャイでもてなしてくれます。

ただの外国人旅行者に対して、ためらいなくもてなす心意気は、ぼくらも見習う必要があると思いました。ぼくは3度訪れたわけですが、どの訪問時も1度は民家にお邪魔しています。

村の少年たち
村の少年たち

女性のタジク帽子は、ものすごくきれいです。刺繍のみのものとビーズを貼り付けたものがありますが、特にビーズを貼り付けたものは、太陽の光に照らされるとキラキラ光ります!

ぼくの印象では、おばあちゃんは刺繍のみのもの、若い子はビーズ付きのものをかぶっている感じでした。帽子の高さもものによって微妙に違い、「こういう微妙な差でおしゃれするんだろうなー」とか思って感心。

 

そんなわけでお土産に是非とも買って帰りたいと思ったのですが、この女性用タジク帽子、意外と高いです。1000円くらいで買えると思っていたので、面食らいました。質がいまいちなものだと150元くらいで買えますが、良いものだと300元もします。日本円にしたら5000円以上。想定していた金額の5倍です。男性用の帽子も同様で、羊をきちんと使った上質のものだと、450元。値切っても380までしか下がりませんでした。

数件店を周りましたが、どこもそれ以上は下がりません。ゲストハウスのオーナーに聞いても、やはりそれくらいはするとの答え。ウイグル帽子の場合、安いものなら30元とかで買えるので、その10倍です。

結局「どうしても欲しい!」と思って買ってしまいましたけどね。これだけ高いとなると、相当物好きな旅行者でなければ買わないでしょうし、その分レアなはずです。

 山・平原・空の全てが美しい町

この土地に来て、美しい風景を語らないわけにはいきません。「ため息の出るような美しさとはこのことか……」朝日を見ながらそう思いました。

ずっと続く平原にポツポツと立つゲル、裾野からすっとそびえ立つ山々、そこから徐々に顔を出す太陽。平原の水路に太陽の光が眩しげに反射し、山肌はオレンジに染まります。たった30分程度で全てが色を変え、まるで全く違う景色を見ているかのよう。もちろん、どの景色もそれぞれ美しいです。

タシュクルガンが本で紹介されることはあまりないのですが(長倉洋海さんの写真集には出てきます)、この地域はぼくの中で世界の絶景といえるものでした。おそらくアフガンのワハーン回廊などもにたような雰囲気なのだろう、と想像しています。

 

タシュクルガンの中心部からカシュガル側に少しもどると、ひたすら平原が広がっています。もちろん遠くに山が見えます。羊が放牧され、本当にのどかです(たまに警察がいて緊張しますが)。細い道には数十分に1台程度しか車が通りません。何もありませんが、風が気持ち良いです。それほど長期な旅行なわけでもないのに、観光地ではないところで「風に吹かれて気持ち良いなー」って言えるだなんて、ものすごい贅沢ですね!

最近は漢民族向けの観光地化が進んでいるようですので、素朴な雰囲気を味わうのであれば、可能な限り早く訪れた方が良いと思います。

 

タシュクルガン唯一の観光地といえば石斗城。ぼくは遺跡にはそれほど惹かれないのですが、ここから見る朝日もなかなか良いです。遺跡と山をいれて広角の写真を撮ると、いかにもな感じでニンマリできます。

朝日に照らされる石斗城
朝日に照らされる石斗城
町の後方に広がる湿原。朝は馬に乗って走る男の姿も。
町の後方に広がる湿原。朝は馬に乗って走る男の姿も。

 宿泊事情について

自分は交通賓館と功徳賓館、そして北緯38度青年旅舎の3か所に泊まったことがあります。

ひとりなら青年旅舎のドミに止まれば安上がりですが、2人以上なら他でも別に高くありません。カシュガルから同じタクシーに乗ってきたパキスタン人(住んでるのはウルムチ)と一緒に交通賓館に泊まったこともあります。ちなみに、交通賓館から50mほどの距離にパキスタンのカレー屋さんがあって、とても美味しいです。

 

交通賓館はチェーン展開しているホテルですから、ありがちなビジネスホテルです。中国国内を旅行した人であれば、一度は目にしたことがあるでしょう。

功徳賓館も同じです。受付の人とかの感じがとてもよく、近くの食堂を教えてくれたり、祭りを見てからカシュガルに帰るにはどうしたらよいか一緒に考えてあれこれ案を提示してくれたりしました。タクシーのおっちゃんに頼んで、祭りを十分に見てからカシュガルに向かうように言ってくれたのもここの人です。暖房、WiFi、ホットシャワー完備。冬であれば1泊80元で個室に泊まれます。全く不満はありませんでした。

北緯は今までにぼくが泊まった中では変わった雰囲気のところで、ドミの他に雑魚寝用の部屋もありました。もちろんぼくは雑魚寝部屋に宿泊。街の中心から少し外れているからか、あまり人はいませんでしたが、なかなか快適に過ごせます。個人的にはどこも同じようなビジネスホテルより、いろんな旅行者の旅の跡が見えるゲストハウスの方が好きです。

ここも例に漏れず、いろんな人が旅行を楽しんでいった跡でいっぱい。ちなみに、ここでは自転車が借りられます(有料だけど安い)。ちょっと遠出してみたいときには便利です。

 


雨のち晴れ、明日はきっと晴れるよね。

 

※ カレー屋のオーナーがめちゃ格好良い!英語はペラペラ、その他にも数ヶ国語を話せるらしく、知性があふれる!「お前、学生なんだから腹減ってるだろ?好きなだけ食ってけよ。俺も昔は腹すかせてたもんさ……。」なんて言うあたり、男気ありすぎです。冬はやってませんでした。

※2 バスターミナルの近くにも青年旅舎があります(K2)が、そっちはイマイチらしいです。冬は閉鎖しています。途中一緒に旅をしていた中国人が言ってました。

 

フンザへの行き方もまとめています。詳しくはこちら↓

フンザへの行き方【まとめ】〜中国・ウイグルからパミールを越えて〜

2016の年末年始もタシュクルガンで過ごしました。その時の一部始終はこちら↓

3度目の新疆!タシュクルガンで写真を撮りまくる。

個人でのタシュクルガン訪問はツアー以外難しくなりました。

いざタシュクルガンへ!?最悪の事態が発生。

(2016.11.13、2017.1.14、5.14、6.13リライト)


フンザの行き方まとめ!中国からカラコルムハイウェーを駆け抜ける


【重要】5月3日より、中国側カシュガルから国境の町タシュクルガンへの個人旅行が禁止されました。グループツアーであればタシュクルガンまで行けるようです。パキスタンビザを持っていれば入れるとの話もありますが不確かです。

 

桃源郷フンザ。

世界で最も美しい場所の一つであろうこの地への行き方は、パキスタンのイスラマバードから入っていくか、もしくは中国はウイグル自治区からカラコルムハイウェーを使って行くかの2通りです。

ぼくがフンザを訪れたのは2014年秋。そのときは中国側ウイグル自治区からクンジュラブ峠を越えてパキスタンに入国し、フンザまで行って同じ道を戻ってくるルートをとりました。今回はその際のルートをまとめてご紹介します。

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フンザの行き方。日本からどう行く?

日本からフンザまで、ぼくがとった2014年にとった経路は以下の通りです。


【日本・フンザの往復工程末尾に2017の状況)】

① 日本から北京、ウルムチを経由して飛行機でカシュガルまで(1泊2日、北京空港泊、カシュガル泊)金土

カシュガルではナイトマーケットや古い町並み、大バザールなどが楽しめます。

 

② カシュガルから中パ国境の町タシュクルガンまでシェアタクシーで。バスも存在する。(1日、タシュクルガン泊)日

タシュクルガンまでは4〜6時間。途中に綺麗な湖がいくつかあります。特にカラクリ湖は有名です。シェアタクシーの運転手さんに予め頼んでおけば写真撮影させてくれるはずです。タクシーの料金は120元。

 

③ タシュクルガンから国際バスでクンジュラブ越え。カラコルムハイウェーを爆走。パキスタン側の国境の町ススト付近まで。(1日、ススト周辺の町グルミット泊)月

丸一日かけての移動です。タシュクルガン郊外のバスターミナルから、絶景の連続のクンジュラブ峠へ。同乗のパキスタン人からナンをもらうなんてことも。

 

④ グルミットからアッターバード湖へチャーター車で、アッターバードを船で渡り、乗り合いバンでフンザの中心部、カリマバードまで(半日かからない)火

ターコイズブルーの湖を地元の人たちと一緒に渡ります。湖面を太陽の光が反射してて感動的。日本にこんなところあったら速攻でスーパー観光地になってるレベル。周りの山々も美しい。フンザの景色をいろいろと眺めつつ宿へ。

 

⑤ フンザを満喫(2泊3日)火水木

トレッキング、お土産、散策、学校訪問などなど、いろんなことができました。

 

⑥ カリマバードから乗り合いバンでアッターバード経由で、国境にほど近いパスーまで(半日かからない、パスー泊)木

ついに帰り。パスーの水道水はすごく美味しいです。氷河の雪解け水なんだとか。

 

⑦ 朝一にチャータータクシーでスストまで、国際バスに乗り換え、カラコルムハイウェーが走るクンジュラブを越える。中国側国境の町タシュクルガンまで。(1日、タシュクルガン泊)金

この日は丸一日移動。絶景の連続のはずですが、旅の疲れで半分くらい寝てました。

 

⑧ タシュクルガンで1日過ごす。(1日、タシュクルガン泊)土

予定よりも早く中国側に戻ってきたこともあり、タシュクルガンで丸一日。郊外の村まで行ってみる。地元の人の家にお邪魔できてすごく面白い一日。

 

⑨ タシュクルガンからカシュガルまで乗り合いタクシーで。バスも存在。(半日以上くらい、カシュガル泊)日

帰りはやっぱり疲れてて寝てしまいます。帰ったら夜の街でハッスル!(変な意味ではない)

 

→半日カシュガルで時間を潰し、飛行機でウルムチ経由北京、そして日本へ。(1泊2日、北京空港泊)月火

計12日。


フンザで2泊3日とする場合、最初のカシュガル泊と最後のタシュクルガン1日は省けるので、最短10日で行けます。しかし、国境の不確実性や移動の多さを考えると、少し余裕を持って11日か12日見ておいたほうが良いです。

ぼくは国境事情について知らなかったため、フンザに2泊3日しか滞在できませんでしたが、本当はあと1日いる予定でした。自分の知人は、フンザで登山のベースキャンプを訪れ、トレッキングも楽しんだそうです。

 

また、パスーも見所がありますし、その他の場所もただそこにいるだけで自然や人の素晴らしさを感じられるところのように思えました。できることなら2週間とりたいところです。

注意点は何と言っても土日の国境閉鎖です。これを中心に予定を立てる必要があります。毎日バスがあると思っていると、計画が大幅に狂ってしまいますし、最悪日本に帰れなくなってしまいます。気をつけましょう。

 

ぼくがフンザを訪れた2014年当時は、カシュガルからタシュクルガンまでの道は大工事の最中で最悪の悪路。また、アッターバードレイクを船で渡らなければフンザへは到達できませんでした。それが2017年5月現在、道は綺麗に舗装され、アッターバードレイクの付近には道路が走っているそうです。

こうした状況により、物理的には非常にアクセスが容易になりました。特にタシュクルガンからフンザまでは、2014年当時は1日半かかりましたが、現在は日をまたがず1日で辿り着けるようになっているそうです。

冒頭にカシュガルからタシュクルガンには個人で行けなくなってしまったと書きましたが、それにより、以前のように地元のシェアタクシーを使うことはできなくなってしまいました。ご注意ください。

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フンザの魅力は、そこに至るまでの道のりの魅力でもある

フンザといえば、その素晴らしい景色と穏やかな雰囲気が最大の魅力です。その魅力については、雑誌やブログを始め、多くのメディアで語られています。一方、フンザに至るまでの道のりについて語られることは多くありません。

フンザを訪れるのは大変です。「山を越え、川を越え」を実際にやらなければなりません。日数も最短で4日かかりますし、疲れます。それでもぼくは全行程を通して楽しむことができました。

 

カシュガルのアニマルマーケット、真っ青な空のもと絶景が続くパミール高原・クンジュラブ峠。ターコイズブルーを湖面にたたえるアッターバードレイク。満天の星空に優しい人々。砂ぼこりと焼けるような日差し。朝晩の冷え込みと白い吐息。民族衣装にチャパティ。道路を遮る羊たちと国境。吹き抜ける風に、旅人同士の出会い。旅に求める全てが、そこにありました。

バスやシェアタクシーでの移動が多いため、工程を見ると「なんだ、移動ばかりじゃないか」と思われる方もいることでしょう。しかし、移動それ自体を楽しむことができます。中継地点もそれぞれ魅力的ですし、それにバスから見える風景は絶海の連続です。また、バスやシェアタクシーで同乗するのは現地の人ばかり。彼らとのコミュニケーションも楽しめます。

 

雨のち晴れ。さあ、旅に出よう。

関連記事一覧

これまでに書いたフンザ関連の記事です。少々長いですが、こちらを順に読んでいくとイメージが湧きやすいと思います!

 

【カシュガル】

ウイグル帽子のおじさんに混じってカシュガルを堪能しよう。

 

【タシュクルガン】

国境の町タシュクルガンでパミールの息吹を浴びて

3度目の新疆!タシュクルガンで写真を撮りまくる。

 

【クンジュラーブ峠を越えて・カラコルムハイウェー】

標高4900mのクンジュラブ峠を越えフンザへ

 

【アッターバードレイク・パスー(北部フンザ)】

パスーでターコイズブルーの湖と氷河をこの目に。

 

【桃源郷フンザ】

フンザは本当に桃源郷のような優しい土地だった。

 

2017.0217、0514リライト