アチェンガルゴンパ:祈りに人生を捧げる天空の街


チベット圏最大級の寺院の一つ、アチェンガルゴンパ。亜青寺と書き、地元の人は「ヤチン!」と言っています。このアチェンガルゴンパの訪問が今回の東チベット旅行の大きな目的の一つでした。カム地方に来たら、ラルンガルとアチェンガル、それにリタンなんかが定番ですね。

 

今回の旅ではラルンガルが立ち入り禁止になっていたので、このアチェンガルが最大の見所となりました。このアチェンガルはラルンガルに比べて知名度で劣ることもあり、今のところ外国人立ち入り禁止になっていませんが、今後いつそうなってしまうとも限りません。現に、常に公安は監視しているようでした。

行けるところには行けるうちに行っておくのが正解です。実際にラルンガルも5月までは入れたのですから……。

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 いざ、アチェンガルゴンパへ

ガンゼからは乗り合いバンで約3時間。ガンゼのデンゴンパ入り口付近から乗り合いバンが出ています。料金は45元。地元の人たちと同じ料金で乗れます。

ガンゼからアチェンガルゴンパまで行くのにかかる時間ですが、ガイドブックには4時間とか書いてあります。でも、きっと道が良くなったからでしょう、3時間で着きました。あっという間です。尼さんたちと一緒にアチェンまでぶっ飛ばしてもらいましょう。

アチェンまでの道中も絶景の連続。見晴らし台が何箇所もあることからもわかるように、単にぼくたち日本人だけでなく、中国人にとっても美しい景色ということでしょう。お金があれば1台チャーターして所々停まりながら写真を撮りたかったくらいです。

 

アチェンガルゴンパといえば、巨大な島に尼さんだけが集まってすんでいることで有名です。しかもその規模はチベット圏最大級。さらに、その島の対岸には男性だけが住む僧坊群が。男女比は1:3くらいということで、女性の方が圧倒的に多いお寺です。

また、以前は野犬が多いことでも有名だったようです。その数なんと2000匹。しかしぼくが訪れた2016年9月の時点ではほとんど駆除されているようで、たまに野犬を見かけるくらいという程度でした。アチェンガルゴンパ入り口の小屋みたいな場所にも「野犬駆除!」みたいな横断幕が掲げられていました。

 

乗り合いバンから降りると、すぐそばに大きなストゥーパとコルラする人々、そしてその横に亜青賓館というホテルが。一部屋1泊100元〜です。ちょっと高いくせに、WiFiもシャワーもありません……。英語も通じず、トイレはニーハオ式(ウエットティッシュとか持っていくと良いかも)。こればっかりは、自ら秘境ちっくなところを訪れている以上、仕方がないと言えますね。ただし、このホテルに併設されたレストランは安くて美味しかったです。特に野菜スープが疲れた体にしみました。

ちなみに、ぼくが訪れた時はこのホテルしかないと思っていたのですが、どうやらバンが到着するところからだいぶ離れた場所に2件ほど宿があるそうです。そちらはドミトリーもあるようでだいぶ安いとのこと。ご参考まで。

 

 島にひしめく僧坊群。これが宗教都市か!

アチェンガルゴンパといえば、何と言ってもその壮大で美しい風景。亜青賓館や巨大ストゥーパから巨大キラキラ仏像が立つ丘の上に登っていくと、島の全貌を拝むことができます。

いわゆる絶景はかなり多く見ているぼくですが、アチェンの景色は格別でした。単なる風景ではなくて、宗教性を帯びているというか、雰囲気が一種独特なんですね。これは時間をかけ辛い思いをしてまで来る意味があると思えました。また、この場所は夜になると夜景が素晴らしい場所でもあります。せっかく辛い思いをしてくるんですから、是非とも撮影して帰りたい風景です。

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さて、そんな景色が素晴らしいアチェンガルゴンパですが、原則として島の中心部に男性は入れません。島の外周には男性もいますが、中心部は女性だけの空間なんです。

まあ絶対にダメというより、原則としてダメという感じなので、入ろうと思えば入れるようですが。ぼくはいまいちよくわからないままに島の真ん中に迷い込みましたが、「ここは男はダメよー」と言われ(チベット語だからたぶんとしか言えないけど)、そのあとは島の外周をうろついたりしていました。

そして、遠くから見ると素晴らしい風景なのですが、近づいてみるとバラックの集合であることがわかります。川はゴミで汚れていますし、正直美しいとは言い難いです。チベット僧と響く読経、すぐ近くに浮かぶ雲、散らばるゴミと工事現場、積み上がる土砂。なんともアンバランスで不思議な感じ。今の中国や世界を象徴しているようでした。

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島の周辺を散策したら、今度は男性僧坊群へ。こちらはもちろん男が入っていって問題ありません。坂のあちこちにお坊さんの家が立ち並び、上まで登っていくと20歳にならないくらいのお坊さんたちが洗濯をしている風景なんかが見られます。ラルンガルゴンパに行けない現在、こういった風景を見られるのはここアチェンガルゴンパくらいではないでしょうか。

 

 高山病に要注意!めちゃ辛いです。

実は、ぼくはこのアチェンガルで高山病にかかってしまいました。アチェンガルゴンパが位置する場所の標高は約3800m。このとき風邪をひいていてもともと体調が優れなかったことも原因でしょう、あっという間に頭痛と筋肉痛、それに顔の猛烈なむくみに襲われました。

本当は3日間滞在して精力的に回ろうと思っていたのですが、右目が潰れるくらいまでに腫れてきたので、やむなくガンゼに退散したほどです。

 

どうしてもくまなく見たいという思いと体の辛さの狭間で、100m歩いては座り込むということを繰り返しながらお坊さんとコミュニケーションをとったり写真を撮ったりしていました。

高山病にならないためには水を飲みまくることが重要と聞いていたので、相当頑張りましたが、それでもダメでした。最後は命の方が大切です。アチェンガルゴンパは本当に素晴らしい場所ですが、無理しすぎないように気をつけましょう。ぼくはガンゼに戻ったらすぐに顔のむくみもなくなり、普通の状態に戻りました。たった500mしか違わないのに、これだけ体に与える影響は違うものなんですね。

 

 実はある、とっておきのお土産

旅行者向けのものはお土産も何も無いと書きましたが、ここは巡礼地。巡礼者のためのものなら存在します。その一つがこのバッグ。確か15元だったと思います。お坊さんたちってみんな似たような格好をしていますよね。当然のようにみんな臙脂の僧衣をまとっています。

でもみんな同じなんてつまら無い、ファッションにだって興味があるのが人間の心情です。そしてこの心情についてはお坊さんだって同じ。そんなわけで、ぼくたちが観光地に行ってお土産にお守りを買うように、お坊さんたちも「俺は亜青寺に行ったんだ!」というグッズが欲しいんでしょう。そんなわけでおそらくお坊さんが買うためのバッグがこれ。

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まさにアチェンガルゴンパに行った人しか買えないオリジナルグッズ。乗り合いバンが到着する場所の近くにあるショップの一つで発見しました。アチェンのお土産に、是非。

 


 

現代に残された秘境ってすごく少なくなっています。パキスタンのフンザも秘境と呼ばれますが、こちらは外国人観光客向けのゲストハウスやホテルが立ち並んでいます。それに比べても、ここアチェンガルゴンパは本当に秘境と言えるでしょう。外国人向けのホテルは存在せず、お土産なんてものもありません。あくまでもチベット仏教とのための巡礼地なんです。

 

雨のち晴れ。いつかきっと晴れますように。


ラダック:インドのチベット、素朴で優しい祈りの地


「こんにちは」も「ありがとう」も「ジュレー!」。

インドの中のチベット、チベットよりもチベットらしい地ラダック。中心地レーは観光地化が進んでいますが、一歩外に出れば、まだまだ素朴な人々と雄大な自然が残っています。日本よりもずっと青い空の下、チベットの優しさに触れる旅に出ましょう。

 ラダックって?


インド・カシミール地方、平均標高が3500mを超える高地にあるラダック。

デリーから飛行機で1時間、乾燥し、尖った山々を越えていくと、レーにたどり着きます。パキスタンとの国境未確定地域を含むジャンムー・カシミール地方に属するため、危険と思われがちですが、ラダックに限れば安全と言っても良いでしょう。外務省の渡航安全情報を見ても、インド内の他の地域と比べて安全であることがわかります。

 

インドといえばヒンドゥー教のイメージですが、ラダックの宗教はチベット仏教です。中国のラサを中心とする中央チベットでは、独自の文化が失われてしまったと言われるのに比べ、ラダックでは昔からの信仰がそのままの形で残っているそうです。これがチベットよりもチベットらしい地域と呼ばれる所以でしょう。この地に生きる人々は、ラダック語を操り、ラダックの伝統を守り続けています。

 

ラダックには、レーを中心に、数多くの観光名所が存在します。上下ラダック、パンゴン・ツォ、ツォ・モリリ、ヌブラ渓谷、花の民ドクパが住むダー・ハヌー。これらをすべてちゃんと見ようとすると、とても1週間程度では足りません。

自分はザンスカールに行ったので、ラダックでは上下ラダックくらいしか見れませんでした(理由は他にもあるのですが……)。特にパンゴン・ツォは、誰に聞いても「良かった!」と言われる場所ですので、次回は是非行ってみようと考えています。

 

ラダックは見所が多く、非常に魅力的な地域です。しかし注意も必要です。一番は高山病でしょう。3500mといわれる標高ですから、多かれ少なかれ誰もが高山病にかかります。高山病は耳慣れた病気ですのであまり強いと思わないかもしれませんが、実は命の危険性もある大変なものです。到着した日は体を休め、その後も無理をしすぎないように気をつける必要があります。

 チベット寺院、ゴンパ。

チベット仏教が根付くこの地域には、お寺がいっぱいです。ラダックを訪れた人の誰もが、一度はゴンパ巡りを行います。

上下ラダックの有名どころといえば、ティクセ、ヘミス、アルチ、ラマユルなどになります。こういったお寺巡りが好きな人も多いようです。自分は建造物そのものにはあまり興味がないのですが、それぞれのお寺に入るお坊さんに声をかけてもらったり、一緒にお茶を飲んだりするのはすごく楽しかったです。「Tea?」とたくさんの人から声をかけられました。

ここでは、ぼくが訪れたゴンパの中でも特に印象深かったものについてご紹介します。

①ティクセゴンパ

ゴンパ関係で特に記憶に残ったのは、ティクセゴンパで僧侶の祈りに立ち会ったことです。11時から始まってなんと13時30分まで、祈りは2時間半も続きました。50人以上いるでしょうか。小さな子供の僧から、もう80歳は超えていそうな大僧侶まで、一斉にお経を唱える姿は圧巻です。それほど広くないお堂全体が震えているようです。

このときが、自分がこれまで生きてきた中で一番「宗教ってすごいかも」と思った瞬間です。形だけ宗教っぽいことしている人たちとはレベルが違います。2時間半の祈りを毎日するだなんて、本気でなければなかなかできません。

②ラマユルゴンパ

ラマユルゴンパは、様々な写真家が訪れる場所です。ラダック地域を訪れた写真家は必ずと言って良いほどラマユルゴンパと「月世界」と呼ばれる特殊地形をセットで収めていきます。ガイドブックには載っていませんが、ラマユルからカルギル方面に坂を登っていくと、ビューポイントが存在します。この地は、ラダックの代表的風景なのです。ぼくが好きな竹沢うるまさんも写真集にここの風景を収めていますね。

また、近くにはホームステイ受入れを行っている家やゲストハウスが複数あるので、できれば1泊したいところです。ぼくが泊まったゲストハウスは夕食込みで、お母さんがダルカレーを作ってくれました。こちらのご飯は味気ないのですが、なんだか地元感が出ていて楽しめました。

ちなみに、ラマユルからカルギル方面へ行くために、路上でレー方面から来るバスを、ヒッチハイク的に拾えます。

③バスゴゴンパ

ジープのチャーターでもしない限り、なかなか訪れないと言われるバスゴゴンパも、お気に入りの一つ。他のゴンパに比べれば朽ちていて、しかも現在はお坊さん2人が交代で管理しているだけ。現在活動しているゴンパというわけではないようです。

しかし、そのぶん静かで、落ち着いて見学することができます。ぼくは現地で知り合った日本人と一緒に行動していましたが、このバスゴゴンパだけで1時間30分くらいは時間を使ったのではないでしょうか。バスゴゴンパからの景色は、絶景そのもの。朽ちかけたゴンパと乾いた山肌、光を受けてキラキラ光る田園を1枚の写真に収めることができます。

④行かずに後悔、サスポール

私が非常に心残りだったこと、それはアルチに1泊しなかったことです。アルチ近くのサスポール村には「サスポール洞窟」と呼ばれる有名な洞窟があるそうで、チベットの壁画が数多く残されているとのこと。イメージとしては敦煌の莫高窟のようなものでしょう。

私が旅の途中で出会った人々は、アルチがラダックでベストと言っていました。また、その周辺にある村の人々も非常に優しく、心安らぐところだそうです。アルチゴンパだけを見てラマユルに行ってしまったのは、失敗でした。当時ぼくはサスポールのことを知らなかったので、仕方がないといえば仕方がないのですが……。ラダックに来たら必ず訪れるべき場所のようです。

 レーの町歩き。 〜お土産・ゲストハウス・レストランなど〜

レーには数多くのゲストハウス、お土産屋さんがあります。

ゲストハウスは価格・設備が千差万別ですので、自分に合うゲストハウスを見つけましょう。旅行社にはチャンスパと呼ばれる地域のゲストハウスが人気のようです。もちろん価格交渉も忘れずに。夏場は観光客が押し寄せるようで、どこのゲストハウスもいっぱいになると聞きました。自分が訪れた9月は、全くそんなことはありませんでした。

 

お土産物には注意が必要です。お店によって値段がかなり違う上、偽物を売っている店も多いとか。自分で信頼できそうな店を見つけましょう。ちなみに自分は、「今買って!」と言わない店で買うことにしています。また、日本でパシュミナや絨毯等、現地で買いたいと考えているものについて、勉強してから渡航するのも一つの手段です。

お勧めのレストランは、「MOON LAND RESTAURANT」。オリヴィエ・フェルミの写真屋さん近くにあります。非常に安く、しかもここのトゥクパとタントゥクが一番美味しかったです。地元の人たちがたくさん来ていましたので、クオリティは確かということでしょう。

【ガイドブックなどによる情報収集について】

ラダック地域のガイドブックは数少ないです。山本高樹さんの「ラダックザンスカール トラベルガイド」や旅行人の「ラダック」から情報を得るのが良いです。ラダックを旅する人は大概、山本さんの本を持参しています。ただし、山本さんの本は出版が2012年ですから、一部情報が古くなっている部分があります。特に交通機関に関しては、現地での情報収集が欠かせません。

また、秘境専門で経営している旅行会社のホームページも参考になります。ラダックは標高が高い地域にあるため、高山病のことなども考慮しながら旅程を決める必要があります。旅行社がどういったプランを組んでいるか、一度確認してみるのが良いでしょう。

 


 

ラダックは非常に優しい土地です。毎年のように来ているリピーターが多いというのもうなずけます。

それでも単に優しいというだけじゃなくて、景色は綺麗だし、チベット仏教などの見所はたくさんあります。観光地化されていますから、危険度も他の地域に比べれば小さいと思います。普通の海外旅行に物足りなさを感じている人には強くお薦めできる地域です。

雨のち晴れ。青空のもと、胸いっぱいに空気を吸おう!(薄いけど)