走幅跳は空中動作で記録が伸びる?何のためにするか解説します。


走幅跳に挑戦しようと思う人の多くが着目するのが空中動作。

踏み切ってから着地までの間に体をどう動かすかという問題です。みんなが挑戦したくなる理由は単純です。空中動作は派手だから、そしてなんとなく走幅跳っぽいから。

でもそもそも、なぜ空中動作を行うのでしょうか。空中動作を行うことによって記録は伸びるのでしょうか?

 

 走幅跳の記録は空中動作によって伸びる?

 

もちろん、空中動作という概念がある時点で意味はあるわけです。しかし多くの人が勘違いしているのが「空中動作を行うことで遠くに跳べる」ということです。

実際には、いくら空中動作を頑張っても遠くには跳べません。できるのは「損をしないこと」です。多くの人が損をしているため、空中動作によって記録が伸びるということになるんです。

 

走幅跳は速い助走と力強く素早い踏切、そして着地の3段階に分かれます。そして記録はほぼ助走と踏切で決まります。着地はロスが内容に行うものだと考えてよいでしょう。そしてロスのない着地をするための準備が空中動作に当たるわけです。言い換えると、「ロスがないような、有利な着地姿勢をとるための準備」が空中動作ということになります。

多くの人は「空中動作を行うことによってより遠くに跳べる」と思っているようですが、若干不正確というか、認識に誤りがあります。あくまでもロスがないようにするためのものと考えましょう。

 

いうまでもなく、走幅跳は物理的な運動です。よって物理の法則から離れることはできません。エネルギー保存の法則に従い、助走で得た水平方向のエネルギーを、踏切を介して垂直エネルギーに変えていきます。ここで垂直方向に変えることと、ブレーキによって前方に進むエネルギーのバランスをいかにとるかが問題になります。

いずれにしても、ぼくたちが走幅跳で得るエネルギーは、助走から得るものであり、それを効率良く踏切で変換することが重要ということになります。これは、空中で何をしようとも新たにエネルギーを得ることはないことを意味します。

 

つまり、反り跳びだろうがはさみ跳びだろうが、いくら頑張って手足を回転させても、新たに走幅跳で遠くに跳ぶためのエネルギーを得ることはできないのです。若ければ若いほど、見た目の派手さに惹かれて空中動作を頑張ろうとしがちですが、本質的なところではないということをしっかり理解しましょう。

ここを理解した上で着地のロスを少なくするために空中動作の練習に取り組むのであれば結構ですが、そうではない人も少なくはありません。

 

 空中動作と踏切の関係

 

空中動作が適切な着地姿勢をとるために重要であるのはその通りなのですが、そもそもなぜ空中動作が着地に関係あるんでしょう。

 

これは助走で得たエネルギーの方向を踏切で変換していくことに関係があります。助走して踏み切らなければ、当然真ん前に突っ込みますよね?そうならないように踏切ではほんの少しだけ体を後傾させます。

もし空中動作をしなければ、上半身が前のめりになります。これを専門用語で「起こし回転」と言います(踏切脚を支点にして後傾していた状態が前に起きる感じだから、と覚えておいてください)。これを打ち消すために空中動作を行うんです。もし感覚が分からなければ、一度実験してみてください。すぐに分かります。

 

つまり、踏切をすることによって、放っておけば前に突っ込んでしまう体を突っ込まないようにしてあげる。これが空中動作の第一の目的です。踏切と空中動作は切っても切り離せない関係なんです。

 

 空中動作には目線の維持も含みますよ!

 

今回は「空中動作の方法」ではなくて「空中動作で記録は伸びるのか」にスポットを当てましたが、関係性が深いので1つだけ書いておきます。それは「走り幅跳びのコツを教えよう。超重要なのに忘れがちな技術。」でも書いた目線の問題です。

先に書いたように、空中動作の一義的な意味は、体を前のめりにさせず適切な着地姿勢を取れるようにすることにあります。もし踏み切った後目線が下を向いていたらどうでしょう?当然体は前のめりになっていきますよね。

本当は脚を前に投げ出したいのに、体が「く」の字にになってしまい、着地で距離をロスしてしまいます。人間の体ってものすごく目線に左右されるんです。

 

ということで、踏切時の目線が前または少し上を向いていれば、それを維持しましょう。いつまで?もう着地するまでです。空中で砂場を見るなんてことはありません。ずーっと前を見ていてください。

そうすることによって上半身がまっすぐに起きやすくなり、脚を前に放り出しやすくなります。姿勢が「く」ではなく「L」になります。

 

空中動作というのは、単に手足をばたつかせたり体を反らせることではありません。最適な着地動作を行うために必要なことを行うことです。ですから目線を前方に置いておくということも、広い意味で空中動作に入るといっても良いです。

目立たないために大学生以上でもできていない人の方が多いくらいですが、これは意識次第でできることですから、ぜひ身につけてほしい技術です。

 


 

空中動作にばかり気をつけていると、肝心の助走や踏切がおろそかになりがちです。でも、一度身につけてしまえば安定してロスなく着地できるわけですから、技術獲得にチャレンジしてみる価値はあります。

もし自分が着地に問題を抱えているとしたら、一度空中動作を見直してみましょう。空中動作・目線の問題を解決することで今までのロスを小さくできる可能性があります。

 

それでは今日も良いジャンプを。GOOD LUCK!


走幅跳のコツを教えよう。超重要なのに忘れがちな技術。


陸上競技の中でも走幅跳は最もメジャーな種目の一つと言っても良いでしょう。体育の授業や体力テスト、地域の陸上大会に至るまで、あらゆる場面で挑戦することが求められます。

 

今回の記事は、主に初めて走幅跳に取り組む方、急に運動会や大会に駆り出されることになった方、それに子供に急に教えなければいけなくなった方等を対象にしています。また、走幅跳に取り組んでいるけどもう一度基本を見直したい方にも読んでいただきたいです。一応書いておくと、これから紹介する技術は三段跳にも共通するものです。

 

走幅跳の専門技術はどれほど必要?それ、すぐにできるもの?

走幅跳は大きく3つの場面から成り立っています。①助走、②踏切、③着地、です。簡単に言えば、速く走ってロスなく力強く踏み切って、これまたロスなく着地するのが大切なわけです。究極的にはこの3つをいかに高いレベルに引き上げられるかが重要です。

 

これらに関し、世の中にはノウハウがあふれています。助走はセットかローリングか、踏切前の重心はいかにすべきか、体幹から体を動かすにはどうすればよいか、はさみ跳と反り跳はどちらが良いか……、考えだすときりがないほどです。

専門に競技に取り組む人にとっては、これらは一つ一つ研究し、自分で試していく必要があります。しかし、初心者の方や、競技会に1度だけ参加するような方にとって、これらを考える必要はありません。仮に考えて実際に試してみたとしても、すぐに上手くできるようにはならないはずです。もしすぐにできるようなら優れた才能があると思います。

これらはどちらかというとより高度な技術を身につけて、自分の能力をプラス方向に持っていくものです。そしてプラスに持っていくことは非常に難しく、かなりの努力と時間が必要となります。「初めての」と冠した書籍でも、実際には玄人向けの技術向上に関する内容がふんだんに盛り込まれているのが現状です。

 

では、初めて走幅跳に取り組むような人は、何に注意すれば良いのでしょう?答えは明確で「ロスをなくすこと」に尽きます。

考えてみてください。ぼくたちがいかに頑張ったとしても、いきなり基礎体力が上がるわけがありませんし、高度な技術を身につけて跳べるようになるわけでもありません。すぐにできることには限りがあるわけです。

初心者の特徴は、非常にロスが多いことです。これは何も走幅跳に限るものではなく、運動であれ勉強であれ、初級段階にいる人は極めて非効率なことをしがちです。そして、こうした非効率の中には、簡単に修正できるものもあるのです。

 

 走幅跳のコツを教えよう。これができるだけで記録が伸びます。

初めて走幅跳に取り組む人にとって、まずはロスをなくすことが大切です。特にすぐに改善できるようなことほど効果は高く、一気に記録を向上させることが可能となります。

ぼくが初めての人や競技を始めたばかりの人に指導するときは、以下の3つを優先的に身につけてもらいます。

 

  1. 目線をまっすぐ前に向けること
  2. 助走の中盤から体をまっすぐ立てること
  3. 9割くらいの力でリラックスして走ること

 

そんなことで記録が伸びるの?と思われるかもしれません。安心してください、伸びます。たいていの人はできていませんから。

本来、ポイントは他にもたくさんあります。しかし、いきなりたくさんのことを覚えろと言われても難しいですよね。記録向上どころか、かえって混乱して記録を落としてしまう場合すらあります。だからぼくは厳選して3つに絞り込むことにしました。1つできるようになったら新しいことを1つ教えます。

理解していただけたでしょうか?それでは一つずつみていきましょう。

 

1.目線をまっすぐ前に向けること

目線をまっすぐ前に向けることは、最も重要です。走幅跳は踏切板からどれだけ遠くに(=前に)跳べるかを競う種目です。

初心者で多いのが、助走から下を向きっぱなしでそのまま踏み切ってしまう、あるいは上に跳ぼうとして空を仰いでしまうパターンです。下を向いていては猫背になってしまい、踏み切ろうにも踏み切れません。上を向いていればせっかく助走で得たスピードを大きく殺してしまいます。走幅跳は前に跳ぶ競技だということを忘れてはいけません。

 

目線の置き方ですが、助走の中盤からはまっすぐ前か1,2度程度上に目線をおくくらいの意識が望ましいです。

「ほんのちょっとまっすぐより上」くらいでしょうか。助走中盤から踏切、そして着地に至るまでずっとこの目線をキープします。これだけのことで、いきなり数十センチ記録を伸ばす人もいます。

 

2.助走の中盤からまっすぐ体をたてること

体を地面に対して垂直になるようにします。猫背で前のめりになっていないか、体が反って上半身が後ろに残っていないか確認してみてください。言わずもがな、走幅跳の特殊性は、高いスピードで踏み切るところにあります。この踏切をいかに上手くするかに、世の跳躍選手は命をかけています。そして、この踏切を上手く行うためには、体がまっすぐに起きていることが不可欠なのです。

 

実際の踏切は後傾しているのですが、気持ちとしてはまっすぐのまま入るくらいでちょうど良くなることが多いです。初心者が後傾を意識してしまうと、やりすぎて大きなブレーキをかけることになってしまいます。そうすると、上に跳べるけど前に進まない、記録に結びつかない跳躍になるんです。

 

3.9割くらいの力でリラックスして走ること

全力で走るということは、それ以上にすばやく体を動かせないことを意味します。当たり前ですよね、全力を出してるんですから。ですから、踏み切るという動作を行うためには、全力よりも少し余力がある状態で走ることが必要です。

初めて走幅跳に取り組む人や、運動経験があまりない人にとって、力をコントロールすること自体難しいはずです。だから「ちょっとだけ全力よりも余力がある」くらいで走ってみましょう。

運動においてリラックスは極めて重要な技術ですが、全力よりもちょっと余力がある状態で走ることで、体がガチガチになってしまうのを避けることができます。これがリラックスにも繋がるんですね。

 

しかし、全力で走らないと助走が遅くなっちゃうのでは?と疑問に思う方もいますね?大丈夫、自分の感覚で9割と全力の速度はほぼ変わりません。むしろ全力で走ろうとすると手足がバラバラに動いたりして遅くなってしまうこともあるくらいです。

大切なのは、自分で自分の体をコントロールできる余力を持った状態でできる限り速く走ることです。

 


 

 

いかがでしたか?どれも特別なことではないですよね。しかし、実際にこれがきちんとできている人は、思った以上に少ないです。

目線、体を立てる、全力ではなくリラックス。この3つをきちんと抑えるだけで、あなたの走幅跳は劇的に変わります。是非一度、自分の跳躍を確認してみてください。

 

雨のち晴れ。きっと跳べるよ!

 

※ もう一つだけ。助走の距離も極めて大切です。特に踏切前の3歩が大股にならないように助走距離を調節してください。大股になっているようなら助走をほんの少し短くしてみましょう。踏切前で大股になってしまうと、素早く踏み切れなくなってしまいます。